Session 1A 都市・地域解析(時空間解析) 司会:吉川 眞

1A-1 県合併によるスコネー県誕生前後の通勤流動の変化に関する研究
 山下 潤
事例の少なさから,市町村合併に比べて,都道府県合併による通勤流動の変化に関する研究は必ずしも多くない.この点に鑑み,本研究では,1997年に2県の対等合併により誕生したスウェーデンのスコネー県を対象とし,合併後の通勤流動の変化を明らかにすることを目的とした.結果として,合併以降年々,旧県域内の移動が減少する一方で,旧県域間の移動が増加し,新県域内での流動が活発化していることを明らかにした.

1A-2 鉄道利用者のターミナル駅周辺地域における時空間分布
 西村 光平,大佛 俊泰
鉄道駅周辺地域は大地震発生直後に大勢の人々が殺到し混乱すると予想されているが,定量的な根拠に乏しい.本研究では平成10年東京都市圏パーソントリップ調査データとGISデータを用いて,いつ(時間),どこに(場所),どういった人(属性,移動目的)がどれだけ(人数)移動しているのかという施設外歩行者の時空間分布を推定し,災害時の群集流動シミュレーションを行うための原データを構築した.

1A-3 上野動物園と多摩動物公園における空間利用の時空間変化とその地域的差異
 有馬 貴之
本研究は,東京の上野動物園と多摩動物公園を事例に,来園者がどのように空間を利用しているのかを,利用密度の時空間変化から考察したものである.本研究では,GPS端末を用いた行動調査を行い,その移動軌跡データに対してカーネル密度推定を施すことにより,地図上に利用密度を可視化した.その結果,上野動物園と多摩動物公園では,利用密度の時空間変化について,それぞれの特徴が認められた..

1A-4 過去の住宅地図を利用した市街地駐車場の形成過程について
 館山 壮一
本稿は北東北3市及び函館市について,中心市街地がどの程度駐車場で占められているかを計測し,中心商店街の衰退と駐車場数を関連付けて論じるものである.その過程で,函館市をケーススタディとし,過去の住宅地図を1970年代から10年刻みで参照して,どのような建物がいつ頃駐車場に転換していったのか観察する.その結果,転換は1990年代に集中している事が判明し,併せて本稿で浮かび上がってきた課題についても言及する.

1A-5 神奈川県における農地の粗放的転用データの信頼性の検証
 稲葉 佳之,真鍋 佑紀,厳 網林
近年,農地の粗放化,つまり,耕作放棄や駐車場や資材置き場などへの転用が大きな問題となっているが,統計と実態のタイムラグなどのいくつかの問題があり,詳細な実態の把握が困難である.そこで,本研究では,神奈川県を対象に,我が国における代表的なデータである農林業センサス,転用統計等の統計資料と,広域での土地利用の把握に優れる細密数値情報GIS,都市計画基礎調査GISを比較することで,それぞれのデータの信頼性を検証,粗放化の発生状況を推定することを目的とする.


Session 2A 空間情報技術(データベース構築) 司会:平田 更一

2A-1 Webジオコーダに関する有用性の評価
 小野 雅史,長井 正彦,李 亮源,柴崎 亮介
GeonamesやGoogle Maps等,基本的にフリーで活用できるWebジオコーダが立ち上がってきている.各Webジオコーダは,対象地域,多言語対応,データベースが管理する地物型,データの品質,入力クエリのインターフェイス等の観点から,様々な特徴に分類することができるが,各Webジオコーダを提供するサービス側が必ずしもそれに対する十分な情報を提供していない場合もある.そこで,本研究では,ユーザ側から既存のWebジオコーダの有用性を評価できる手法を検討する.

2A-2 PI地名辞典による資料目録の地名典拠構築
 平松 晃一
本発表は,PI(Place Identifier)仕様により標準化した地名辞典を,アーカイブ資料目録の地名典拠として整備し,同名異地等のために一貫性を欠いていた地名を検索のアクセスポイントとして機能させることにより,"過去にどこで何があったかが一次資料からわかる"環境の構築を提案する.住居表示だけでなく字名や建築空間等にも対応し,現実空間との対応関係が失われつつある過去の地名を保存する手法としても応用可能である.

2A-3 GISを利用した秦野市の地表・地下水の持続可能な管理をサポートするジオデータベースの構築
 シュレスタ・ガウラブ,佐土原 聡,佐藤 裕一
地表・地下水の豊かな秦野市の水質・水量を健全な状態に維持するために,そして,地下水を含む水の循環を把握するシミュレーションのために,流域の時・空間的な基礎データが必要である.そのために本ジオデータベースを秦野市と共同で構築している.水質汚染追跡のための空間情報システムと共に,河川の流量・水質,観測井の地下水位,水道水源及び企業地下水の揚水量,降水涵養量等がデータベース化されている.本データベースは水環境計画策定等のために大学・自治体・NPO等の協働を支援する情報プラットフォームとして活用できる.

2A-4 東アジア地域の持続的発展のための空間情報インフラ整備について
 ? 京禄,阪田 知彦
近年,東アジア地域の相互依存関係が強まり,人やもの,情報の移動をよりスムーズに行うためのシームレスアジア構想,日帰りビジネス圏,貨物の翌日配達構想が出現している.このような状況のなか,東アジア圏域の都市・地域がどれだけの相互依存・協力関係を持って今後発展していくかを検討するため,都市・地域の空間情報の分析が必要不可欠になってくる.本研究は,これについてヨーロッパの例を調査し,東アジア圏域での空間情報インフラ整備の可能性について,試験的に作成したマップをベースに報告する.

2A-5 地名の標準化と地名辞書
 碓井 照子
日本におけるGISの普及において地番レベルの位置参照点整備が急務であり,その整備について政府の方向性は示された.しかし,これらの位置参照点のデータベース化に重要な地名の標準化と地理情報標準に準拠した地名辞書のスキーマ作成が遅延している.一方で,地名の世界標準化に関しては,ISO/TC211で標準作成に向けての活動が急速に進みつつある.BS7666(英国の地名標準化)も参考に日本の地名の標準化と地名辞書作成の課題を発表する.


Session 3A 自然環境(地形) 司会:高橋 信人

3A-1 琵琶湖湖岸における明治時代以降の地形変遷
 東 善広,西野 麻知子
本研究は,ヨシ帯や魚類の産卵の場として重要な湖岸域の環境変遷を明らかにするため,旧地図ならびに航空写真を用いて琵琶湖ならびにそれにに付属するように分布する内湖と呼ばれる小水域の地形変化を調べた.その結果,琵琶湖の湖岸は,地理的,構造的に一様に人為的変化を受けたのではなく,北湖では,1940年代以降の干拓等による内湖の面積減少が顕著であったのに対し,南湖では近年までに本湖の面積が約15%減少し,特に1960年代以降の減少率がやや大きかった.

3A-2 10mDEMを活用した河成段丘および緩斜面の区分とその土木工学的適用性
 長岡 大輔,小池 明夫
GISの解析により基盤地図情報の10mDEMから地形の平坦面〜緩斜面の抽出と河川流域ごとの河床からの比高を求める方法を考案した.この2つの地形要素の組み合わせにより,河成段丘を視覚的に抽出することができ,扇状地や沖積錐,あるいは崖錐などの第四紀堆積物や斜面堆積物の分布範囲も比較的精度よく推定できるようになった.この方法は,定量的な基準で地形を評価することができ,かつ広域の地形解析が可能となるため,建設計画や斜面災害調査等に広く役立つものと考えられる.

3A-3 計測方法の異なる谷密度の関係性とその特徴
 田中 信行,卯田 強
摩耶山地を対象に,50mDEMと3次メッシュ(約1km×1km)を用いてArcGIS上で,計測方法の異なる6種類の谷密度を得た.それぞれを比較した結果,水系頻度および水系密度,合流点頻度は本来の意味合いの谷密度を表し,谷頭数は谷頭侵食の指標の“谷頭頻度”として,水系密度/合流点頻度は水系の併合の程度を表す“併合度”として谷密度とは別に扱うべきであることが明らかになった.また,これらは地形発達を考える上で,重要な意味をもつパラメータである.

3A-4 航空レーザ計測による羅臼岳の景観生態学的研究
 小荒井 衛,佐藤 浩,中埜 貴元
航空レーザ計測データを用いて,羅臼岳南東麓の登山道沿いで,景観生態学学図を作成するため,基礎的な地形解析を行った.活葉期の0.5mグリッドDSM,DEMと落葉期の2mグリッドのDSM,DEMを用いて,植生三次元構造を反映した1mグリッド植生データを作成した.また,50m,2m,0.5mグリッドのDEMからそれぞれ傾斜,凸度,尾根谷密度の3つの地形量に着目した自動地形分類を行った.それぞれのグリッドデータをオーバレイ解析することにより,解像度に応じた地形量の抽出状況の違いや,樹種や植生高と地形との関連性を考察し,景観生態学図を作成する際の基礎資料とする.

3A-5 斜面崩壊の発生と降水イベントの特徴に関する研究 ―雨量強度―降水継続期間に着目して―
 齋藤 仁,中山 大地,松山 洋
本研究では,日本で発生した1,174件の降水に起因した斜面崩壊を対象とし,斜面崩壊の発生と雨量強度―降水継続時間との関係を解析した.斜面崩壊が発生した降水イベントについて雨量強度―降水継続時間の散布図を作成したところ,負の相関関係がみられた.そこで,各変数の分散が最小となるように軸の回転(主成分分析)を行った.主成分得点からは,斜面崩壊が短時間強雨と長時間少雨の2種類の降水イベントで発生していることが定量的に示され,斜面崩壊発生時における降水の特徴が明らかになった.


Session 4A 都市・地域解析(基礎理論) 司会:古藤 浩

4A-1 点分布間の相互関係を分析する手法の提案と適用
 貞広 幸雄
点分布は,最も基本的な空間オブジェクトである.本論文では,複数の点分布が同一地域に存在する場合に,それらの空間関係を分析する手法を提案し,その適用を行う.分布間の空間的位相関係,空間的近接関係,空間関係の局所性に特に着目し.それらを地図,グラフ,数値指標で表現する.

4A-2 ポリゴンデータに対するカーネル密度推計法の応用−地図指摘法で取得した都市施設建設希望位置に関するポリゴンデータへの応用を事例に−
 川向 肇,有馬 昌宏
本研究では,新規に建設を希望する都市施設の建設希望位置に関して地図指摘法を利用して得られたデータを用い,カーネル密度推計法を用いた建設希望位置の推計手法の拡張可能性について考察する.具体的には,建設希望位置として地図指摘法によって得られた記号ポリゴンの内部の位置座標データを利用する手法とその手法による密度推計結果を提示し,地図指摘法で得られる記号ポリゴンの中心座標のみを用いたカーネル密度推計結果と比較する.

4A-3 最短経路距離の関数として共分散を定義したKriging
 村上 大輔,堤 盛人
空間データ相互の依存関係(空間従属性)を考慮した内挿手法であるKrigingでは,通常ユークリッド距離の関数として空間従属性の定式化を行う.しかし,交通ネットワーク上の移動により達成される,人の活動に関するデータである社会経済データの空間従属性は,交通ネットワーク上の距離や移動時間にも強く影響を受けていると考えられる.そこで本研究では,そのような距離を考慮した空間従属性の定式化と,それを用いた内挿について議論を行う.

4A-4 座標変換によって生じる鉄道線形への影響
 清水 智弘,中山 忠雅,中川 秀晴,田中 俊作,高田 直明
鉄道の立体交差化事業における鉄道線形計画において,当初,日本測地系で計画・設計されたものを,実施設計では世界測地系に準拠した線形計画を行う必要が生じた.そこで,いくつかの座標変換手法を検討し,その中で,国土地理院が提供する座標変換ソフトウェアを利用して測地系の変換を行うこととした.測地系の変換によって線形に生じる鉄道業務特有の課題と対策を述べるとともに,鉄道線形の観点から測地系に対する考察を行った.

4A-5 土地利用データにおける主題属性の誤差評価
 花島 裕樹
現在,GISの応用で利用されているデータの誤差として扱われているものの多くが,空間的誤差である.しかし,GISの分析結果には,空間属性と同様に,主題属性も大きな影響を与える.しかしながら,今日まで,主題属性の誤差に関する研究蓄積が十分なされておらず,その重要性が軽視されてきた傾向にある.その中で,本研究は,土地利用データを例として主題属性の誤差を評価することを目的とする.


Session 5A 防災(一般)  司会:長坂 俊成

5A-1 合理的な被災者生活再建支援を実現するための生活再建過程の空間的可視化
 井ノ口 宗成,田村 圭子,林 春男
災害発生後において,効果的な生活再建支援を実現するためには,被災者の実態を可視化することが必要となる.これまで,GISを用いたとしても地区別集計によって俯瞰的に可視化されてきた.これは,被災自治体が管轄区域に対して支援を進めるための広い施策展開のためには有益である.しかし,広い支援だけでは支援から取り残される被災者が発生するため,個別事情を可視化し,個別支援を進めることが求められる.本研究では,各被災者の居住場所を中心として,同心円およびレーダーチャートを用いた個別被災者の生活再建過程の空間的可視化を実現した.

5A-2 携帯電話を用いた災害情報収集システムの開発‐システムの実用化に向けた操作性などの追跡実験とシステムの改良‐
 鄭 炳表,滝澤 修,福島 綾子,遠藤 真,座間 信作
大規模災害発生時の効率的な被災情報収集のため,携帯電話を用いた災害情報収集システムを開発した.いつの発生するか分からない地震などの災害に対して,本システムを有効な災害情報収集システムとして位置づけることができるかを検証するため,同じ被験者を対象に本システムを用いて,1年間にわたり追跡実験を行った.本稿では実験の結果とシステムの改良などについて報告する.

5A-3 災害対応での活用を目指す情報集計機能の研究開発
 古戸 孝,佐々木 光明,臼井 真人,福山 薫,角本 繁
災害時,被災地の自治体では,直後から膨大な量の情報処理を強いられる.しかし,特に災害直後の混乱期から初動期にかけては,文書作成ソフトや表計算ソフトでの利用以外,情報システムがあまり活用されていない現状がある.本研究では,過去の災害対応を分析し,災害対応初期での活用を目指した情報集計機能を検討した.検討結果および試作機能について発表する.

5A-4 災害発生時における安否確認システムに関する考察
 畑山 満則
災害時における安否確認の重要性は,災害の種別によらず指摘されており,様々な情報システムが構築されている.しかしながら,有効に活用された例は少なく,いまだ様々な課題を残している.発表者は,阪神・淡路大震災以降,災害直後から利用できるGISベースの情報システムの実現に取り組んでおり,災害直後に必要とされる機能として安否確認をあげている.この実現について,自治体と地域コミュニティの連携,データの準備,認証,情報共有手段,災害対応後の後処理について,防災訓練において様々な実験を重ね,知見を積み上げてきた.本発表では,これらの知見を整理し,安否確認システムの社会的な実現の可能性と残された課題について報告する.

5A-5 災害時要援護者の避難支援に向けたロケーションベースシステムの構築
 宮城 里沙,西村 治彦,川向 肇,白川 功
災害発生時の人的被害軽減のため,平常時からの災害時要援護者への支援体制づくりや避難経路の確認など,災害への備えが重要視されている.そのためには,避難所までの避難経路上で災害時要援護者が認知する課題についての位置と内容をロケーションベースで確認することが有用である.そこで,本研究ではGISとGPSを搭載したPDAを用いることで,ロケーションベースで避難経路上の問題点を確実に記録可能とするツールを構築した.


Session 2B 空間情報技術(移動・ネットワーク) 司会:円山 琢也

2B-1 鉄道における情報共有基盤の構築
 岩橋 寛臣,大塚 雅紀,中山 忠雅,吉川 悟
JR西日本では,平成19年度に航空写真・線路平面図を電子化し「電子線路平面図システム」を構築した.広域的な地図や設備情報を,部門横断的に活用するため鉄道部門に特化した視点からデータやシステムを設計した.保守運用に至るまで陳腐化せず全社共有するための課題や仕組みの検討,短期間かつ安価に整備するための要求精度や整備対象の整理など行った工夫と,その中で得られたシステム構成・データ取得・作成方法の知見を報告する.

2B-2 複数の経路ネットワーク情報システムを統合的に扱う手法の提案
 盛田 彰宏,佐藤 俊明,本間 克哉,高塚 智道
近年,商業施設など屋内空間で歩行者向けナビゲーションサービスが実用化されつつある.屋内を対象としたサービスは,APIを設けて屋外の歩行者ナビゲーションサービスと統合的に扱うことができれば,より利便性が高まると考える.そこで,空間コードとユビキタスID技術を利用して,分散する経路ネットワーク情報を,統合的に扱うために必要なAPIの要件を抽出し,統合的な経路探索を行う手法を提案する.

2B-3 時空間情報プラットフォームの構築
 佐藤 裕一,佐土原 聡
GISをポータルとした,住民・自治体・企業・研究者の協働を支援する,3次元地質モデルや大気・水循環シミュレーターの3D時空間データを組み込んだ時空間情報基盤・プラットフォームを神奈川拡大流域圏を対象フィールドとして構築.

2B-4 移動経路の共有による車両位置のモニタリング
 藤野 和久, 大沢 裕
車両の位置の実時間モニタリングに関する研究が活発になっている.しかし現在の研究は,数分に1回程度取得される時系列位置を用いるものや,路線バスなど経路が定められているものを対象としている.本研究では,車両の動きを観察し,車両ごとによく通るルートの情報を抽出し,それをベースに未来位置予測を立ててモニタリングする方式を提案する.実験結果から従来方式の1つであるdead-reckoningに比して高精度かつ高効率なモニタリングを行なえることを示す.

2B-5 タクシーの計画的減車が利用者・社会に及ぼす影響に関する研究
 田口 健太郎,吉田 聡,佐土原 聡
近年,日本のタクシー業界では供給過剰問題がさまざまな弊害をもたらしている.タクシーを一日だけ休車し,供給台数適正状態を作る社会実験を一休計画と称して,日本最大規模のタクシー営業区域である東京特別区・武三地区を対象として実施することが予定されている.本稿では一休計画を実施するに際してGISを用いた分析を行い,タクシーの利便性,安全性,輸送の効率性の視点から同社会実験が利用者・社会に及ぼす影響を事前に評価した.


Session 3B 自然環境(植生・緑地) 司会:小荒井 衛

3B-1 NOAA/AVHRRデータを用いた1981年から2001年までのブラジル・マットグロッソ州における植生変化とその原因
 サンガ ンゴイ カザディ,吉川 沙耶花
ブラジルの中西部に位置するマットグロッソ州は,森林伐採量が最も高く,植生変化が最も激しい地域である.本研究では,NOAA/AVHRRデータを用いて1981年から2001年までの5年ごとの植生図を作成し,その変化量を明らかした.また,植生変化への影響因子として,道路建設や人口分布などと植生変化量との比較を行った.結果として,植生変化全量の56%が人口分布のない地域で,また52%が主要道路から50km以上離れた地域で発生していることが明らかとなった.

3B-2 植生分布の空間的連続性における観測季節の影響
 熊谷 樹一郎,水嶋 翔吾
緑の基本計画では緑のネットワーク化を考慮した施策が示されている.一方,ネットワークの基となるのは道路などの都市施設であることが多く,必ずしも植生分布そのものが反映されたものではない.植生は季節変化による影響を受けやすく,配慮が必要との指摘もある.そこで本研究では,地球観測衛星データから定常的に植生被覆量の多い箇所の集積領域を植生分布変移軸として抽出・定義し,異なる季節ごとのものとの比較を通じて軸周辺の植生種の現況を分析した.

3B-3 防災性能などの多面的機能と空間構造による生産系緑地の類型化と特性把握
 小林 祐司,佐藤 誠治,中川 あい
近年,緑地の多面的機能の再評価がされている.特に農地については,食料生産の場としての役割が再認識され,さらに洪水防止機能など農地特有の多面的機能を有していることから,その重要性が増している.しかし,農地の減少や荒廃が顕在化し,整備・保全が重要な課題となっている.そこで,本研究ではこの生産系緑地に着目し,多面的機能と空間構造からその実態と特性を明らかにすることを目的としている.

3B-4 Analysis of land use/cover changes and wildlife population dynamics in a wildlife sanctuary in East Africa.
 ムンディア チャールズ デグワ,村山 祐司
Land use/cover change in wildlife conservation areas has serious implications for the ecological systems and distribution of wildlife species. Using Masai Mara as an example of an ecosystem rich in biodiversity but now under threat, we analyzed long term land use/cover changes and wildlife population dynamics and attempted to identify the major driving factors to these changes. Multi-temporal satellite images (1975, 1986, and 2007) together with physical and socio-economic data were employed in a post classification analysis with GIS to analyze outcomes of different land use practices and policies. The results show rapid land use/cover conversions and a drastic decline for a wide range of wildlife species. Over 132,000 ha of grasslands were converted to cultivated farms between 1975 and 2007. Substantial loss in forest cover and habitat fragmentation were also observed. The changing habitat has led to loss of grazing and dispersal areas and could be responsible for the observed 60% wildlife decline in 32 years. Qualitative analyses of driving forces indicate that agricultural expansion, land use policy and expansion of tourist facilities are some of the major factors. Measures proposed in this study need to be implemented urgently to halt habitat destruction and ensure sustainable tourism in Masai Mara ecosystem.

3B-5 大阪における都市内緑環境の分析
 荒木 実穂,吉川 眞,田中 一成
急速な都市化にともなう都市環境の悪化は,ヒートアイランド現象など多くの環境問題を引き起こすこととなった.この対策として緑が注目され,同時に他のさまざまな機能にも関心・期待が高まっている.現在,多様な緑化手法により,大都市では多くの緑を目にすることができ,景観形成においても重要な役割を担っている.本研究では,大阪府における緑の現状を把握し,人々が頻繁に利用する緑を選定するとともに,都市空間における緑の可視・不可視分析を行う.


Session 4B 都市・地域解析(土地・建物利用) 司会:阪田 知彦

4B-1 日本の都市開発研究における土地利用動向調査データの利用:1980〜2005年度
 塩崎 大輔,氷見山 幸夫
本研究は全国の都市開発研究において,土地利用動向調査データの有用性を検証することを目的とする.検証するにあたって各都道府県が毎年行っている『土地利用動向調査』の成果品のひとつである『主要施設整備開発等調書』にある市町村別都市開発事業の統計データに注目し,紙媒体資料である同調書に記載されたのべ16,629件(1980〜2005年度)にのぼる宅地開発データをデータベース化しGISにて分析を行う.

4B-2 隠れマルコフモデルを応用した土地利用遷移モデル(その2) -首都圏数値細密情報を利用して
 田中 陽輔,藤井 明
本研究は土地利用の転換構造を集計的に分析し将来予測を行う手法として隠れマルコフモデル(HMM)を用いることを提案する.HMMを土地利用分析に応用することは,局所的な変化や地理的な変動の差異など不確実性の高い変動をモデリングできる点にメリットがある.本稿では,首都圏の数値細密情報を用いて1974年から1989年までの4地点のデータからモデリングした後,1994年のデータをモデルから予測して実データと比較し,実証分析を行う.

4B-3 GISデータを用いた都市様相の記述 −横浜における建物利用変化の可視化 −
 宮崎 慎也,藤井 明
空間情報は個別の目的に応じてそれぞれ整備,活用されているが,これらの情報を組み合わせて分析することでより多様な知見が発見できると考えられる.本稿では,時系列のGIS建物利用データを用い,この空間情報の重ね合せから,建物ごとの同定プロセスによって,その変化を抽出し可視化する手法について考察した.また,ケーススタディーとして,横浜における建物利用の時系列変化の可視化,及び定量的な分析を行った.

4B-4 街路網形態に基づく中心市街地のまとまりと土地利用の特性に関する研究
 猪八重 拓郎,永家 忠司,外尾 一則,李 海峰
本研究では,佐賀市中心市街地を対象とし,スペースシンタックス理論を応用することにより,中心市街地を核とした街路網構成のまとまりを明らかにしている.その上で,街路網のまとまりと土地利用の特性について明らかにした.また,特に当該地域では駐車場を中心とした低未利用地化が進行しており,こうした現象が一定程度街路網のまとまりと関連性があることが明らかとなった.

4B-5 建物用途別の床面積と立地傾向の変化に着目した大都市圏駅前商店街の時系列解析
 相 尚寿,貞広 幸雄,浅見 泰司
大都市圏の駅前商店街を対象に,建物用途別に立地傾向の変化や床面積の増減を把握し,それらの変化の類型化を行う.まず,商業,住宅,店舗,各々の床面積について,商店街を形成する道路に沿った立地傾向を把握するため,指標化を行う.次に,建物用途別の立地傾向変化と床面積の増減をもとに商店街を類型化する.商業規模や用途地域指定状況から各類型における商店街の変化の要因について考察すると同時に,各商店街に特有の事象も議論する.


Session 5B 防災(予測・評価) 司会:厳 網林

5B-1 GISを活用した沿道街区における火災危険性から見た避難経路の安全性能評価手法
 イブラヒム リズカ オクトラ,吉田 聡,佐土原 聡
木造密集市街地には大地震時には火災による延焼や住宅の倒壊などの被害が予想される.そのため,密集住宅市街地には防災性を向上させるために改善事業が行われている.本研究ではGISを活用して,面的な火災リスク評価に基づいた沿道における火災危険性を考慮して避難経路の安全性を評価・分析する手法を提案することを目的とする.そしてその手法の有用性を確認するために,対象エリアの木造密集市街地で建物構造を変えることにより,地域避難安全性がどう変わるかについての評価を行った.

5B-2 建物倒壊シミュレーションのための3次元ハザードマップの自動生成
 杉原 健一, 林 良嗣
地域防災力向上のためには,災害イメージを具体的に実感できるハザードマップの作成が重要である.通常,使用される確率的震度分布等をメッシュ単位で与えるハザードマップではリアリティに乏しい.そこで,これまでの研究成果,「3次元都市モデルの自動生成システム」を発展させ,地震で倒壊した建物や電信柱等で構成される3次元モデルを自動的に作成することで,建物倒壊や道路閉塞のシミュレーションを行うことが出来る「3次元ハザードマップ」を自動生成するシステムを提案する.

5B-3 消防隊出場圏域の設定指標を用いた震災地域危険度の評価
 平内 努,山本 佳世子
本研究は,東京23区をテストフィールドとし,東京都が公表している地震に関する地域危険度,各消防署所に配置されている消防ポンプ自動車に着目して,地震に関する新たな地域危険度評価を行うことを目的とする.具体的には,地域危険度を考慮して設定した消防隊出場圏域指標を用いて,消防ポンプ自動車1台あたりがどれだけの範囲の地域をカバーしているか算出し,算出結果に基づき評価を行う.

5B-4 DEMを用いた地形分類情報の自動抽出に関する研究
 金 泰運,鄭 炳表,滝澤 修,細川 直史
To estimate damage caused by natural disasters, it is important to have land form database available to analyse the probability and outcome of the disaster. However, for many areas in developing countries, such databases are not yet available and building it by traditional manual measurements demands resources often not easily affordable. For such cases, building database by automated method from DEMs can be a feasible alternative. In this paper, algorithms for automated extraction of land form classification from DEM are introduced. The strategies and implementation of the algorithms are described. Then the algorithms developed are tested on a readily available DEM to demonstrate advantages/acceptability over the existing classification database such as JEGM.

5B-5 GIS analyses of the recent landslides in Japan
 Hiromitsu Yamagishi and GIS Landslide Group
Recently, heavy rainfalls and intensive earthquakes triggered many shallow- and deep-seated landslides in Japan. In order to do GIS analyses of them, it is needed to get digital data such as orthophotos, geologic maps, landslide maps and 10m_DEM. However, these data are recently providing from several governmental organizations. Hence, we have been analyzing recent landslides and old deep-seated landslides using these digital data by GIS methodology, and furthermore, we are attempting to make Shikoku GIS Disaster maps using these data and others.


Session 2C 空間情報技術(システム・サービス) 司会:太田 守重

2C-1 DSMを用いた建物屋根形状の簡易判読手法
 天野 貴文,吉川 眞
現実空間の基盤地図となる都市を3次元CGモデル化した「ディジタルシティ」の構築において,重要な景観要素となる建物のモデリングは,その景観的重要度に応じてモデリングレベル(詳細度)を分けることにより効率的に景観シミュレーションが実施できる.本研究では,航空レーザ測量データより得たDSMから建物形状を構築する方法を提案し,大阪市を対象にDSMから得られる傾斜角と方位角から屋根形状を判読し,GIS上で3次元建物モデルの生成を試みている.

2C-2 位置情報のタグ入力支援手法の検証
 熊谷 潤.金杉 洋,柴崎 亮介
私たちが文書作成やブログを書く際に位置情報を含んだ記述が多く存在する.現状では,別途地図で調べたりジオコーディングを行わなければならない.本研究では,文章入力作業時に同時に緯度経度情報などの位置情報をはじめ様々な情報をタグとして入力できる手法を開発した.また,被験者による実験を行い,本手手法の操作性や有効性を検証した.

2C-3 屋内・地下も適用範囲に入れたブログベース私的位置情報サービス
 鍛治 秀紀,有川 正俊
本研究では,個人の日々の行動や経験の記録,今後の予定やto-doなどごく私的な情報(ライフコンテンツ)を緯度経度や屋内,地下のある地点と関連付け,位置情報サービスとして利用するためのオープンな枠組みを提案するとともに,そのプロトタイプシステムであるpTalkの実装,運用を行う.pTalkでは,位置情報を取り扱うことができるように拡張したブログと携帯端末用のアプリケーションを用いて,ブログ上にある場所情報や,そのほかのサービスから得られる場所情報を,ユーザの現在地に合わせて提供する.

2C-4 コンテンツ配信・収集による地図統合オーディオツアーの共有サービス
 鶴岡 謙一,有川 正俊
ユーザが地図上のある位置に写真や映像などをアップロードするウェブ地図サービスが普及しつつある.しかし,ユーザはこれらの情報を手動で検索し入手する必要があり,情報を配信・収集することが不便である.本研究では,ナレーション(写真・映像含む)と地図によるオーディオツアーにコンテンツ自動配信機能を付加し,ユーザが地図と統合されたオーディオツアーを配信,検索,自動収集するコンテンツ共有サービス(maPodWalk Caster)を開発し,その意義と有用性をまとめる.

2C-5 公共事業における図面位置表示・管理ウェブサービスの提案と実装
 有川 正俊,鍛治 秀紀,光安 晧,清水 知子,秋山 實
昨今の公共事業では図面の電子化が進み,電子データで納品されることが多くなった.それらの図面データを参照・再利用できれば,生産性向上が期待できるのであるが,データ品質管理や情報共有の仕組みが不十分なこともあり,活用が進んでいないという実状がある.われわれは,この状況を改善するための枠組みとして,ウェブマッピングの上で図面位置を表示し,タギングにより空間メタデータの作成や修正を視覚的に支援し,また複数のユーザが共有することで,協調的にメタデータの品質を高める“図面位置表示・管理ウェブサービス”の提案と実装を行った.本論文では,その意義と可能性に関して論じる.


Session 3C 自然環境(生態・データベース) 司会:小林 祐司

3C-1 カラスの営巣管理における効率化手法について
 石田 雅宏,久世 晋一郎
カラスによる電力設備への営巣は,安定的な電力供給を阻害する要因の一つである.本研究では,営巣の対応業務にGISを適用し,営巣箇所の分析やカメラ付携帯電話を用いた営巣情報の管理手法を検討したので,その内容を紹介する.その上で,現行の営巣巡視エリアの妥当性や,携帯電話を用いた情報収集システムによる巡視業務への適用評価とその課題について検討し,GISの利活用による巡視業務の支援・効率化についてまとめる.

3C-2 GISを活用した防災度・自然度総合評価におけるオオタカHSIモデルの統合化検討
 大野 剛,木元 明日子,藤原 靖
神奈川県横浜市内全域を含むエリアを対象に,防災度は「土砂災害警戒区域・特別警戒区域」,自然度は「現存植生状況」「土壌生産力」「水源涵養力」を評価項目と設定して定量評価を実施した.また,現地で確認されるオオタカに注目し,「オオタカHSIモデル」を用いた定量評価を実施した.GISを活用して可視化することで,防災度と自然度の現状や総合評価結果をわかりやすく確認することができた.さらに,数式で表現されているHSIモデルとGISとをリンクすることによるオオタカ生息に適したエリアの視覚的な把握や得られた結果の比較や相関性の把握も容易に実施することができた.本研究は対象エリアの防災度や自然環境への理解を高め,対策を講じる際のツールとなることが期待できる.

3C-3 地理空間技術を用いた湿原環境の平面的構造の推定
 高田 雅之,井上 京,三島 啓雄
北海道北部のサロベツ湿原を対象として,水文,土壌,植生等に関する環境因子の平面分布を推定しその構造を評価した.ALOS/AVNIR-2及びPALSAR画像,航空機レーザ測量データ,及び紙地図をGIS化したデータを用いて各環境因子の平面分布を推定し,現地より取得した調査データと比較した.その結果,@各因子が相互に関連すること,A因子によって変動の空間スケールが異なること,B推定した平面分布は現地の実態を反映していること,などを明らかにした.

3C-4 トキ再生プロジェクトにおける各種情報の共有・流通手法の構築
 鷲見 皓大,三谷 泰浩,池見 洋明
トキの営巣・採餌環境,地域社会環境の側面から調査・研究を行うトキ再生プロジェクトにおいて,情報が機能的に利用されず,プロジェクトが円滑に進行していない現状がある.この問題解決のために,本研究では,多種多様な情報を,地理空間情報として管理し,GISとWikiから構成されるGIS情報基盤により情報を共有・流通させる仕組みを新たに構築する.この結果,グループ内でしか活用されなかった情報がプロジェクト全体で流通し,研究者間の双方向の情報共有が実現され,新たな研究成果の創出に繋がった.

3C-5 メコン川流域の地理空間データベースの構築
 島崎 彦人,福島 路生,野原 精一
メコン川流域全体の自然環境と社会経済の概況を包括的に把握するとともに,水系や地理的な隣接性を通じて伝搬する各種開発行為の影響を検討するための空間データベースを構築した.本報告では,構築した空間データベースの仕様について概説したあと,主題図の作成や地域特性の類型化処理への応用例について紹介しながら,メコン川流域の概況について整理する.

3C-6 ヒグマの胃内容物とGISを使用した野生動物と人間の生活空間との関係分析
 橋本 操,間野 勉,山下 亜紀郎
本研究では1999〜2006年に駆除されたヒグマの胃内容物の解析を行い,結果を過去(1991〜1998年)と比較し,Arc GISを用いて捕獲された地点を地図化及び解析することで,北海道において駆除されたヒグマの食性の変化を時空間的に明らかにし,人間生活とヒグマを含む野生動物との関わり方について考察することを目的とする.


Session 4C 都市・地域解析(商業) 司会:川向 肇

4C-1 駅前商業集積の画一化過程に関する分析‐小田急小田原線を事例として‐
 関口 達也,貞広 幸雄
近年,駅前の商店街などの商業集積の画一化が指摘されている.これは都心からやや離れた郊外部で顕著で,店舗の多様性が失われることは街の魅力の喪失につながる.本研究では,東京とその周辺地域における駅前商業集積を対象として,商業店舗の業種構成,チェーン店の増加の観点から画一化の過程に関する分析を行った.結果,商業集積の画一化が,店舗の業種・チェーン店の割合や商業集積の周辺環境に密接な影響を受けていることを明らかにした.

4C-2 大分都市計画区域における近隣商業地域の類型化と隣接用途地域の建物分布特性
 椎葉 憲亮,小林 祐司,佐藤 誠治
近隣商業地域においては,周辺の住居系地域の日常的な利便性を増進する役割を担っているが,郊外型大規模店舗の出店等の影響から十分にその役割を果たし切れていない地域が多くみられる.そこで,近隣商業地域を対象とし,土地利用構造と建物分布特性の類型化から特徴を明らかにし,隣接する他用途地域の建物分布状況と比較を行うことで,近隣商業地域の今後の課題と在り方を検討することを目的とする.

4C-3 電話帳と電子地図を用いた店舗および事業所の時系列データセット開発と商業集積地域の現状分析
 秋山 祐樹,仙石 裕明,柴崎 亮介
都市空間の詳細なモニタリングのために,既存の住宅地図と電話帳の統合および新旧データの時空間統合を行うシステムを開発した.本データは店舗・事業所の新旧2時点間の変化(存続,入替,新設,消滅)を業種も含めて観察出来る.さらに本研究ではこのデータを用いて商業集積地域の現状分析を試みた.業種と店舗間距離を用いて商業集積地域を自動抽出し,既存統計情報との突合せを行った.その結果,本データが商業集積地域の実態の推定に利用出来ることが明らかになった.

4C-4 人の流れから算出される滞在時間と商業統計の関係性についての研究
 島崎 康信,関本 義秀,柴崎 亮介,秋山 祐樹
本研究は,人の滞在時間の長短が購買結果とどのような関係にあるか重回帰分析を中心を行う.人の滞在時間データは,平成10年度東京都市圏パーソントリップ調査(東京都市圏交通協議会)のマスターデータを使用し,東京大学 空間情報科学研究センターの動線解析プラットフォームを利用して集計を行う.購買結果のデータには,平成11年度商業統計を用いる. また,平成12年度国勢調査の常住人口・昼間人口と比較して,人の滞在時間を用いた分析の有効性を検討する.

4C-5 IPF法を用いた小地域の品目ごとの市場規模の推定
 星田 侑久,佐藤 俊明,岡部 篤行
本発表では,IPF(Iterative Propotional Fitting)法を用いて,総務省統計局が発行している家計調査と国勢調査から,小地域単位に各種品目の市場規模を推計した結果を報告する.


Session 5C 防災(システム・応用) 司会:畑山 満則

5C-1 植生分布の延焼遮断機能に着目した空間分析の適用可能性
 熊谷 樹一郎,水間 雄二郎
植生の空間的分布によってもたらされる緑道や延焼遮断帯,避難路などの役割がどの程度寄与するかを明らかにすることは緑地保全や防災対策の貴重な検討材料となる.著者らは植生の延焼遮断機能に注目し,延焼シミュレーションの応用によって建物との空間的な配置関係からその効果を定量的に表す手法を開発してきた.本研究では,得られた植生分布の延焼遮断効果をネットワーク空間上での空間解析に採用し,それらの適用可能性について議論する.

5C-2 GISを活用した学級閉鎖情報の住民への迅速な公開が感染予防行動に及ぼす効果についての基礎的研究
 有馬 昌宏,西條 毅
インフルエンザの発症情報のGISを活用した地域住民への迅速な提供が地域住民の感染予防行動に及ぼす影響について,2008年12月から2009年1月にかけて兵庫県三木市で全世帯を対象に実施した住民意識調査の結果に基づいて報告する.住民へ提供する情報は教育委員会を通じて保健所に報告される学級・学校閉鎖情報であり,携帯電話やインターネットを通じて表で提供する方式と地図を利用する方式の2方式を比較し,GISの活用の有効性について検討する.

5C-3 GISを活用した新型インフルエンザ(感染症)対応情報管理システムの構築に関する考察
 山崎 誠,佐土原 聡
新型インフルエンザ(感染症)の感染拡大に対して感染状況の把握と患者の効率的なコントロール,医療体制の維持等を実現するための情報管理システムの構築についてGISの活用の可能性,効果について考察する.特に発熱相談センター,発熱外来の機能を維持,強化するための情報管理システムについて提案する.

5C-4 WWW上の空間情報の防災への利活用に関する研究
 田中 成典,古田 均,伊藤 俊秀,広兼 道幸,馬 智亮,物部 寛太郎
本研究は,WWWを探索して,位置情報などの空間情報に付随した防災に関する情報を自動的に収集し,電子地図上に防災情報を集約するシステムの研究開発を行う.WWW上の情報源としては,個人からの情報を収集するために,特にブログや掲示板などを対象とする.さらに,収集した防災情報を用いて,安全な場所や危険な場所に近づくと携帯電話を通じて利用者にその情報を知らせるシステムの研究開発を目指す.

5C-5 小規模集落の安全安心のための持続的な情報収集とGISの活用について
 臼井 真人, 河合 香織, 古戸 孝, 福山 薫
小規模な集落での安全安心なまちづくりに向けたGISの活用,持続的な情報収集の手法の成果と課題について述べる.最初の防災訓練のための情報収集から訓練に至る活動では,個人情報を収集し,データベースとして避難訓練を行った.訓練後のアンケートから,GISへの理解や個人情報提供への住民意識の高さが明らかとなった.今までの活動をもとに,住民によるシステムの有効的な運用や持続的な情報収集の方針と課題に関して議論する.


Session 1E 景観・3DGIS(都市景観) 司会:玉川 英則

1E-1 神戸・北野地区における景観分析
 竹内 陽,吉川 眞,田中 一成
神戸の代表的な景観が選定されている「神戸夜景百選」を類型化すると山側や高層ビルを視点場とした眺望型,展望型が神戸の典型的な見方であるといえる.その中でも北野地区は,当時から設置されている「港見晴らし台」があることからも典型的な視点場であり,また異人館を中心に観光地として賑わいをみせていることから対象場としての役割も担っている.そこで,北野地区について伝統的建造物群保存地区と観光地の2つの観点から分析を行い,その特徴を見いだしている.

1E-2 筑波山へのビスタ景観と建築物の高さ制限
 森口 壮一郎,大澤 義明
ビスタ景観は直線的に向かった視対象を指し,山当て道路などから可視される.しかし,視点場から視対象の間に存在している建築物の高さによっては眺望が遮られる場合がある.そこで本研究では,筑波山への眺望を遮らない高さで規制をかけた場合に視点場から筑波山の間にどのような建築物が建てられるのか,また沿道上からの眺望を分析し,ビスタ景観保護を目的とした絶対高さ制限の可能性について検討する.

1E-3 都市内における夕暮れを感じる要素の抽出
 杉山 剛,田中 一成,吉川 眞
時間の変化とともに幻想的な景色へと変化する夕暮れ時は,昔から魅力的な時刻とされている.本研究は,都市空間内で感じにくいとされている夕暮れについて,これを感じる時間と物理的な要素・形態から夕暮れの始まりと終わりの抽出方法等について知見を得ることを目的とする.GIS等の情報技術を用いた調査・分析の結果,建築物や道路方位などの都市形態や都市生活時間等による夕暮れを明らかにすることができた.

1E-4 夜間景観のモデル化
 佐藤 樹,吉川 眞,田中 一成
景観を工学として捉える際,操作する対象をモデル化することの重要性は周知のとおりである.そこで本研究では,これまで人間の内的要因によって捉えられがちであった夜間景観に着目し,各種の空間情報技術と空間データを融合的に活用することで,分析・デザイン手法の開発に役立つ夜間景観のモデル化を行うことをめざしている.具体的には,日本有数の都市圏である大阪湾岸地域における夜間景観のモデルを構築し,全国的に有名な夜間景観の特性を手がかりに,モデルを用いて分析・把握,ならびに表現を行うことにしている.


Session 2E 教育(一般) 司会:矢野 桂司

2E-1 GISを活用した環境教育 −野外調査結果の視覚化による興味喚起−
 山野 高志
環境教育の充実,とくに若者への環境問題の意識付けを行うべく様々な教育方法が実践されるなか,筆者はGISを用いることで環境調査の結果を空間補間により視覚化し,さらに時系列分析を行うなど,学生の興味を喚起し,考える力の育成を試みている.本稿ではGISを活用することにより新しい環境教育の手法を提案し,その教育効果と若年層の空間情報リテラシーを含めた問題点について検証を行う.

2E-2 PDAを活用した江戸期廿日市宿の町並み把握の一手法
 三好 孝治,上嶋 英機,森保 洋之,青山 吉隆
フィールドワーク支援のためのPDA用ソフトを開発中である.江戸期廿日市宿の町並みを把握するために,地域に伝わる文化五年および正徳年間の町屋絵図を用い,町並みが彩色されて描かれた前者の絵図上に,後者の絵図に記されている屋号を書き加えてPDAに格納した.それを用い,現在地図に対応させた絵図中の道に沿って,材木屋,鍛冶屋,魚屋などの家業を確認しながら歩くことにより,江戸期の町の賑わいを感じとることができた.

2E-3 オンライン教材を用いたGIS実習のレポートに対する学習者同士の評価実践の報告
 高橋 昭子,岡部 篤行
本論では,オンライン教材によるGIS実習において,学習者のレポートに他の学習者がコメントをつける仕組みを使った授業実践について報告する.教員は学習者からメールで提出されたレポートを,教材内に設置した掲示板から参照できるようにした.授業では学習者にこれらのレポートを参照させ,掲示板にコメントを記述させた.学習者からは,自分にはない視点や反面教師となるような点を他者のレポートに見出すことができたという反応があった.

2E-4 地理空間情報技術の知識体系と実験的教育の実践
 太田 守重
空間情報社会の進展は,それに貢献する人材にかかっているが,そのための高等教育の実践例は少ない.この発表ではまず,2005年から2007年度に実施された「地理情報科学標準カリキュラム・コンテンツの持続協働型ウェブライブラリーの開発研究(代表:岡部篤行,科研費基盤研究(A))」の中で提案された地理情報技術の知識体系を紹介する.また,これに基づいて2008年度の後期に実施した授業の内容について報告する.


Session 3E 普及・活用(システム開発1) 司会:今井 修

3E-1 まちの変遷を考慮した地域学習支援システムの開発と携帯端末への展開
 工藤 彰,窪田 諭,市川 尚,阿部 昭博
近年,住んでいる地域を見つめ直す取り組みとして地域学習が行われている.このような取り組みにおいては,その地域が辿ってきた歴史的な変遷を知ることが重要であると考える.そこで本研究では,古地図や古写真を用いてPC上で利用可能な地域学習支援システムを開発した.評価として,市民団体や高校の教員数名にシステムを試用してもらい,その有用性が示唆された.さらに,開発したシステムを携帯端末へ展開し,町なかで利用できるシステムを提案する.

3E-2 MapServerとGoogleMapsを統合したWebマップサービスの開発と応用
 大場 章弘,厳 網林
本稿では,MapServerというオープンソースGISを利用して基礎地図データベースを管理し,GoogleMapsを利用してユーザインターフェイスを構築した.これら2つのWebGISを融合させることでサーバ・クライアント双方向のデータ通信ができ,基盤地図整備とアプリケーション開発の効率化が可能となる.また,このシステムの開発方法はOGCのWebサービス仕様に準拠しており,汎用性の高いものとなっている.

3E-3 対話型観光プランニングシステムに向けて
 倉田 陽平
本研究では,利用者ごとに適切な市内観光プランを作成するGISベースのシステムを提案する.既存の同種システムでは,事前登録された利用者の嗜好に対して最適とされる観光プランが作成されていた.しかし現実には利用者の嗜好や興味は訪れる場所ごと逐一変化する.そこで本研究では,ユーザーによる代替案の選択行動や,特定の観光資源への訪問リクエストをもとに,段階的に適切な観光プランを構築していく対話型の観光プランニングシステムを提案する.

3E-4 地域連携型のGISシステム構築に向けた取組
 佐藤 正之,澤田 貴行,陶 俊,西尾 美徳,蒋 湧
文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業として,2005年度から推進している三遠南信地域における「地域づくり情報システム整備事業」に関する研究活動を報告する.報告は,@GISを利用した地域づくりの問題点,A地域連携型のGIS基盤システムの構築,B地域空間情報の整備,CArcObjectを用いた行政向けのGISツールの開発,DGIS普及と人材育成,5つの側面から,中山間地域にGISを用いた地域づくりの問題点や地方大学の在り方を含めて,4年間愛知大学の取り組みを紹介する.

3E-5 市民団体におけるコンパクトGISを用いた松管理システムの構築
 梅津 健一,市村 康
山口県光市の松並木は白砂青松100選に選ばれており,藩政時代(1600年頃)から地元の人々によって長い間保護活動が行われてきている.しかし,松並木の調査は広範囲に渡り情報が膨大になるため,効率的な情報収集と管理手法の構築が求められている.そこで演者らは,山口県光市海岸にある約8,000本の松をハンディーGPSで調査し,調査結果を安価なコンパクトGIS(地図太郎Ver.4.03)を用いて松管理システムを構築し,市民活動団体である光市虹ケ浜連合自治会で活用した例について報告する.


Session 4E 都市・地域解析(都市計画) 司会:山下 潤

4E-1 沖縄本島地域におけるスプロール化現象に着目した土地利用規制の検討
 松島 寛知,山本 佳世子
本研究では,土地利用の現状を都道府県単位および地区単位ごとで把握を行い,スプロール化現象に着目した土地利用規制の検討を行うことを目的とする.研究対象地域として,戦後の自然発生的な集落が拡散・発展過程を経て独特の都市形態に発達した沖縄本島地域を研究対象地域とし,特にスプロール化現象の深刻な那覇都市圏を研究主対象地域とする.そして,土地利用の実態を市町村単位ならびに町丁目単位で把握し,土地利用規制の検討を行う.

4E-2 市街化区域外の地価の決定要因に関する考察
 宮下 将尚,堤 盛人,佐藤 尚秀,篠田 順弘,今村 政夫,瀬谷 創
我が国での多くの地価推定に関する研究は,都市計画法上の区域区分における市街化区域「内」を対象としてきた.本研究では,市街化区域「以外」の区域(市外化調整区域, 非線引区域)を対象として,土地の価格を決定する要因について考察を行った.公示地価データを用いて地価推定モデルを作成する課程で,通常用いる変数だけではモデルの推定精度の確保が難しいこと,GISを活用して取得したデータを活用することで実用に耐え得る地価推定モデルの構築が可能となることが明らかとなった.

4E-3 市街地集積度を対象とした広域分析に関する一考察
 熊谷 樹一郎,森 翔吾
近年,少子高齢・人口減少といった問題は,種々の計画策定に様々な影響を与えている.著者らは,地域ごとの人口分布と土地利用分布を対象に,空間的な観点から人口・土地利用の集中・分散する状態を分析する手法について検討してきた.本研究では,主成分分析によって町丁目単位での人口密度・住宅地面積率の関連性を分析するとともに,主成分得点を対象とした空間解析を実施し,市街地集積度分析に対する適用可能性を検証した.

4E-4 不動産取引価格と公的地価指標の比較による情報提供
 井上 亮,立花 一大,清水 英範
不動産市場の透明性向上を目指し取引価格の情報提供が開始されたが,取引価格には取引当事者の個別事情が反映されるため,この情報だけから市場動向の把握は困難である.本研究では,公的地価指標の時空間内挿を通して取引価格と公的地価指標を比較可能な形で情報提供することを提案し,東京23区のデータを用いて情報公開例を示す.また応用として,サブプライムローン問題顕在化による不動産市場への影響について,提案手法を活用した分析例について示す.

4E-5 大阪中心3区におけるデザイン会社の立地分布及び集積の空間的特性に関する研究
 李 政訓,加賀 有津子
本研究発表は,都心再生の方策の中,都心型創造産業に注目し,その立地・集積実態や空間的特性を調査分析した結果である.大阪市は,創造都市戦略を策定し,都心部における産業の誘致・集積のための様々な方策が行われているが,産業立地・集積の空間的実態や特性を把握したデータはない.そこで,大阪市の都心3区(北・中央・西区) を対象にし,GISを用いた探索的空間分析を行い,特定産業の立地・集積の空間的実態と空間特性を解釈した.


Session 5E 自治体(一般) 司会:碓井 照子

5E-1 構造改革特別区域制度の適用実績の可視化
 福本 潤也,岡本 佳洋
構造改革特区制度の適用実績は,規制改革のイノベーションと地域間波及の関係を分析する上で有益な情報を含んでいると考えられる.本研究では,イノベーションと地域間波及の特性を明らかにすることを念頭に,構造改革特区制度の適用実績のデータベースの作成方法とGIS上でのデータベースの可視化法を提案し,提案手法を構造改革特区制度の適用実績に適用する.

5E-2 地方公共団体におけるGIS人材育成方策のあり方に関する考察
 横山 宗明,沼田 雅美,桑原 真琴,蓮井 久美子
地方公共団体でのGIS活用の効果や必要性は認識されつつあるが,その実現に向け,職員の人材育成にまで踏み込んで取組んでいる団体は少ない.本稿では,地方公共団体においてGISの導入・活用を促進していく上で,地方公共団体職員の育成が喫緊に解決すべき課題であるとの認識に立ち,これら職員に求められる能力やその育成方策について,国の人材育成の取組み等を整理し,考察を加える.

5E-3 自治体における公開地図サービスの実態と継続的な把握に関する手法
 関本 義秀,溝淵 真弓,今井 修,薄井 智貴,金杉 洋
東京大学空間情報科学研究センター寄附研究部門「空間情報社会研究イニシアティブ」(CSIS-i)では,1800余りある地方自治体のWebサイトを閲覧することにより,現在どのような地図サービスを行っているかの実態を調査し昨年度速報した.本研究では,その精度向上のための取組と,継続的な把握の可能性としてクローリングを用いた場合との比較結果について報告を行うものである.

5E-4 都道府県と傘下の基礎自治体の関係に着目した都市計画分野での地理空間データの整備状況に関する分析
 阪田 知彦・寺木 彰浩
地方公共団体の都市計画分野での空間データの整備状況に関する悉皆的な把握を目的としたアンケート調査を継続的に実施している.本稿は,2009年2月時点の地方公共団体の都市計画分野における地理空間データの整備状況の調査結果のうち,特に都道府県と傘下の市区町村との関係に着目した分析結果について報告する.


Session 2F 教育(初等・中等教育におけるGIS) 司会:山本 佳世子

2F-1 Web-GISを利用した小学校における自然体験活動支援
 細谷 典義,山本 佳世子
学校教育法(2007年)では自然体験活動が重視されていることを踏まえ,本研究はWeb-GIS利用し,小学校における自然体験活動支援を行うことを目的とする.具体的には,デジタル地図を教材とした自然体験活動の事前と事後の授業実践,デジタル危機管理地図の作成と運用,保護者へのデジタル地図による説明と運用を行う.さらに,Web-GISを利用したこれらの支援活動により,教員,児童,児童の保護者らへの支援効果の確認を期待する.

2F-2 見学旅行の軌跡・冬の通学路調査を通して〜GISの効果的な活用法
 小野寺 徹
滝川高等学校の地理においては,GISの活用を通して多面的な地理の授業を展開している.冬の通学路状況調査とGPS機器を用いた見学旅行での自主研修報告からGISの効果的な活用について報告する.

2F-3 地学教育でのGISの活用
 佐藤 昇
高等学校での「地学」の履修率がなかなか向上しないのが現状である.地学教育を活性化する手段として,デジタルデータを活用して地学教育と情報教育を進めることを試みている.野外活動を進める際の学習支援手段として,携帯などのモバイル機器を使用して野外調査や各種情報提供を行うことを試行した.具体的にはグーグルマップを活用した桜の開花情報の観測や大阪府内の代表的な野外実習フィールドに関する情報提供などを行った.

2F-4 福島工業高等専門学校における人文・社会系科目へのGISの導入
 吉村 忠晴,川ア 俊郎
本稿の目的は,学生の問題解決能力及び課題探求能力の向上を目的に人文・社会系科目にGISを導入した事例について報告することである.福島工業高等専門学校一般教科社会科では,平成19年度から「人文・社会科学演習B」(3年生対象)において,GISに関する講義と演習・実習を組み合わせた授業を開始した.この授業ではGISソフトウェアの基本的な操作を習得させるだけではなく,GISを援用して仮説実証を行うという演習課題を与え,学生の問題解決能力及び課題探求能力の向上を図っている.

2F-5 モバイルGISによる商店街の変容の解析−新潟市白根地区を事例として−
 田邊 龍,佐藤 啓太,山本 靖
本研究は,地元商店街の変容をGISを用いて解析したものである.基盤地図の作成にモバイルGISを携行して調査を行い,その結果をGISソフトに取り込んで商店街マップを作成した.他の例に漏れず白根地区でも幹線道路である8号線沿いに売場面積の大きい大型店が出店しロードサイド型ショッピングが進展し,地元商店街は衰退してしまった.本稿は地元商店街をデジタル化し商業構造や変容を明らかにしたものである.


Session 3F 普及・活用(システム開発2) 司会:倉田 陽平

3F-1 「変化をみる」GISから「変化をつく」るGISへの可能性に関する考察
 厳 網林
私たちは地理情報を空間的,時間的に並べて変化を抽出し,それらを引き起こした原因を検証する(変化をみる)ことに得意としている.一方,地理情報,GISには社会問題を発見し,社会を変える(変化をつくる)力があることも注目されている.本文は,ソーシャルイノベーションにおける地理情報,GISの活用事例を考察し,「変化をみる」ツールとしてのGISから「変化をつくる」ツールとしてのGISへシフトする背景と新しい可能性を考察する.

3F-2 GISと連携する移動ロボット知能モジュールの開発
 荒屋 亮,木室 義彦
筆者らは,知能ロボットが必要とする空間的環境情報処理を支援するロボット用GIS(R-GIS)を開発している.R-GISは環境情報を管理するGISデータベースを介して,ロボットの移動経路計画や,人間・ロボット間の環境情報の共有を可能とする.本稿ではR-GISの取り組みを概観するとともに,現在までに開発した機能モジュール群を用いた自律移動ロボットの動作検証について報告する.

3F-3 地理空間情報の利用に関する産業界ニーズの調査
 杉森 純子,今井 龍一,落合 修,山口 章平,黒岩 剛史,関本 義秀,南 佳孝,柴崎 亮介
地理空間情報が流通することにより,民間ビジネスなどへの活用の可能性が高まることが期待されている.本研究では,産業界を対象に,国土交通分野の地理空間情報の利用に関するニーズ調査を実施し,利用したい地理空間情報や利用に際しての課題などを明らかにした.本稿は,国土交通省と東京大学空間情報科学研究センターとの共同研究「地理空間情報プラットフォームの構築に関する研究」の一端を報告するものである.

3F-4 バイオマスエネルギー事業支援GIS評価システムの開発
 吉田 城治,井内 正直,松井 武史,松林 健一,山根 隆弘,内田 照久,秦泉寺 毅
バイオマスは地域に広く薄く分布することから,エネルギー利用に際しては空間的側面から収集・運搬を含めた経済性を評価することが必要である.そこでバイオマス賦存量の大きいアジア地域での活用を念頭に,バイオマスのエネルギー利用ポテンシャル評価を空間的に簡易・迅速に実施することを目的として,GISをプラットホームとしたポテンシャル評価システムを開発した.

3F-5 センサネットワークを前提とした湖沼水温分布のIDWによる可視化
 尾潟 照一,牧野 秀夫
センサネットワーク応用の前段階として,湖沼水温分布を従来の測定場所地図とグラフ併用により表示する方法から,測定点以外の水温をGISエクステンション機能中の逆距離加重法(IDW)を用いて推定する.さらに,湖沼全域における水温分布状態をカラーグラデーションで一枚の地図上に可視化することを目的とする.具体的には佐渡市加茂湖の9地点の過去10年間の水温データを使い,1年間での夏季と冬季の水温分布(表層と水深3m)と10年間での経年変化の分析を行った.これらの結果は,温度センサの適正配置と動的サンプリング間隔の決定に活用することができる.


Session 4F 都市・地域解析(地域計画) 司会:若林 芳樹

4F-1 流域圏における土地利用変化と水害及び土地利用規制との関係について―筑後川流域圏をケーススタディとして
 永家 忠司,猪八重 拓郎,外尾 一則,李 海峰
本研究では,流域圏における土地利用の現れとしての市街地の形成過程や土地利用の時系列的な変化に着目し,流域に特性の相違や土地利用の変化に潜在する問題の構造を分析した.さらに水害や土地利用着規制との関係から都市的土地利用への変化が抱える問題についても分析を試みた.その結果,ある流域では水害により浸水した地域に都市的地域の指定があるため,指定方針の基準の把握と防災面から指定のあり方について詳細な分析と検討を要することが明らかとなった.

4F-2 都市機能と農業生産活動からみた集落の特徴把握と課題抽出
 才木 淳,進 正人,小林 祐司,佐藤 誠治
現在,我が国では中山間地域や離島を中心に過疎化の進行,自然・生産的環境の衰退・荒廃が深刻な問題となっている.また,大規模な市町村合併などによって,人々の生活圏は広域化し,過疎集落は経済活動の中心から取り残され,地域間格差が更に広がっている.そこで,本研究では基幹産業,農業の両側面から集落の特徴を把握・分類を行い,都市機能までの距離と高齢化率の関係を分析することで,集落が持つ課題を明らかにした.

4F-3 エジプト農村における親族の居住分布の空間分析
 後藤 寛,加藤 博,岩崎 えり奈
エジプト農村の実態調査を行い,親族関係を調べて住居の空間分布を整理していくと,その居住分布パターンにいくつかの種類があることがわかる.これはその村の歴史および発展履歴や政治構造と密接に関連することがわかっている.いくつかの空間分析指標を用いることで,それらの分類および類型化を理論的に行うことができるようにすることができた.

4F-4 透水面分布の連続性に着目した広域分析の試み
 熊谷 樹一郎,植松 恒,大谷 隆二
ヒートアイランド対策として注目されている「風の道」の確保については,緑地などの透水面の保全を図るとともに,広域的な観点から透水面が連続する箇所の形成を推進する必要性が指摘されている.本研究では,不透水面率推定法より得た結果を空間的自己相関分析に応用することで,透水面分布が連続する箇所の抽出を試みた.さらに,AMeDASデータ等を用いた抽出結果の検証を通じて,透水面分布と降水量や気温,風速との関係を考察した.

4F-5 大阪における都市アメニティ要素の分析
 松村 隆範,吉川 眞,田中 一成
近年,アメニティへの注目が高まり,快適環境とアメニティの実現は行政施策のひとつにあげられている.大都市の発展が「巨大化から成熟化」へと変化するのと同時期に,都市空間にパブリックアートが設置され始めた.現在,パブリックアートは都市のアメニティ要素のひとつとなり,都市を構成する重要な要素となっている.そこで本研究では,都市アメニティ要素としてのパブリックアートに着目し,現況を分析・把握している.また,パブリックアートとして認識できる距離を算出している.


Session 5F ポスター紹介セッション 司会:高橋 昭子

P-1 HABSと下総名勝図絵の組み合わせによる里山社寺林一体型ランドスケープ復元の試み
 藤田 直子,岩崎 亘典,スプレイグ デイビッド
下総名勝図絵とは現在の千葉県北部から茨城県南部を対象とした江戸時代後期に描かれた約130点の図絵集である.一方明治初期から中期に作成された迅速測図を公開閲覧するために構築されたのが歴史的農業環境閲覧システム(HABS)である.これらは描写対象範囲が含有関係にあり,作成時期の差も30-40年である.本発表ではこの図絵のうち神社が描かれた画像をデジタル化し,位置を特定してHABS上に表示し,鳥瞰図的に江戸末期の里山社寺林の景観を再現するまでの試みを報告する.

P-2 HABSを用いた迅速測図・図郭外図の公開
 岩崎 亘典,デイビッド スプレイグ
明治時代初期に作製された迅速測図は,近代化以前の日本の土地利用や景観を復元するための貴重な資料である.迅速測図には測量図面とは別に,視図,副図,断面図などの図郭外に描かれた図(以下,図郭外図)が存在し,その総数は1033枚に及ぶ.
 本研究では,迅速測図を公開するために構築した歴史的農業環境閲覧システム(HABS)を活用して,図郭外図の位置を特定するとともに,同システムをもちいて図郭外図の公開を試みる.

P-3 地理空間情報の平面位置正確度の評価
 村上 真幸,鎌田 高造,田中 大和,出口 智恵,島田 久嗣
本研究は,地理空間情報の位置正確度のうち水平成分について,理論的背景について整理し,また,実際の公共測量成果と民間測量成果に対して品質評価を行った結果を報告するものである.さらに,これらの結果に基づき,作業規程の準則に示された標準偏差の制限の妥当性,位置正確度にこの標準偏差を用いることの妥当性,JPGISに示された位置正確度の評価手順の妥当性について議論する.

P-4 熊本都市圏における政策インデックス構築にむけた研究活動報告
 円山 琢也,柿本 竜治,上野 眞也,溝上 章志.山口 岳史,長谷部 俊之
本研究は,熊本都市圏における地域政策の形成に必要となる政策基礎データの総合的な収集・整備を既存の行政界の枠を超えた視点で行い,また,そのデータに応じた特色のある分析手法・可視化技術の開発を行うことを目的としている.研究の経過報告として,土地利用の規制と実態の経年データの整理,幼稚園・保育園の配置データを用いた分析例,熊本都市圏パーソン・トリップ調査データを用いた人の移動の分析事例などを紹介する.

P-5 携帯電話を用いた災害情報収集システムの開発‐災害情報収集に必要な時間の検討‐
 鄭 炳表,福島 綾子,長谷見 雄二,滝澤 修
大規模災害発生時の効率的な被災情報収集のため,携帯電話を用いた災害情報収集システムを開発した.本システムを用いて収集した災害情報を意思決定の材料として使うためには,時間経過につれ,どの程度の災害情報が収集できるかについて検討をしておく必要がある.本稿では同じ被験者を対象に本システムを用いて,1年間にわたり追跡実験を行い,その分析結果から防災計画に適用可能な災害情報収集時間に関する原単位の提案を行う.

P-6 油汚染等の海洋生態系の影響評価につながる海域−陸域統合型GISの構築
 金子 正美,田中 克佳,長 雄一,濱原 和広,濱田 誠一,木戸 和男,亀山 哲,星野 仏方,赤松 里香
発表者らは,ESRI社のArcGISserverを核とし,Mashup技術によりGoogleMapと連動したWebGISサイトを構築した.このサイトでは,様々な海洋情報サイトから,気象情報,海面付近の流速・流向情報,人工衛星画像情報を収集し,一元的に表示することが可能である.また,衛星画像から得られるクロロフィルや海水面温度情報などから,海上の海鳥の分布を予測し,突発的に発生する油汚染による生態系への影響を評価した.

P-7 下水道施設を核とした廃棄物系バイオマスの利活用評価
 増田 貴則,世良 麻里奈,田中 春樹,小林 嗣季
比較的容易に手に入る統計データとGISを用いて字やメッシュ単位等の小地域単位で廃棄物系バイオマスの賦存量および小地域のエネルギーや堆肥等需要量を推定した.そのうえで小地域単位でのバイオマス賦存量の推定結果を用いて地域の下水処理場を中心としたバイオマス需給構造のパターン化とバイオマス利活用における費用およびCO2排出量の評価を行った.

P-8 GIS for Mapping Poverty and Well-being: The Case of Bicol Region, Philippines
 ブランドンマナロヴィスタ, 村山 祐司
GIS has become an intrinsically interwoven tool to analyze not only the physical environment but also socio-economic and human conditions. As such, GIS has become an important visualization tool to analyze poverty with its multi-dimensional characteristics. In this context, this study explores the spatial patterns of poverty in relation to other dimensions of well-being. By using GIS and simple cartographic techniques, map of poverty incidence was overlaid and correlated with various aspects of well-being ? socio-economic, demographic and access to basic services. With Bicol Region, one of the poorest regions in the Philippines, as a pilot site, the study reveals interesting geographical disparities among its localities and discloses the correlation between poverty with respect to some of the well-being indicators. The study found out that poverty incidence is highly correlated with demographic characteristics, i.e. population density, dependency ratio; socio-economic aspects, i.e. proportion of underweight children, non-survival rate among elementary students, percentage of land distribution; and access to basic services, i.e. ratio of households with low level access to water, fuel and garbage disposal services. The study suggests that GIS is a useful tool to creatively visualize and understand poverty in a spatial context.

P-9 茨城県における病院の通院・入院患者の地理分布の分析
 伊藤 技子
本研究は,茨城県の病院に入院・通院するがん患者様の居住地と疾患について調査を行い,交通機関等の社会的インフラの状況と患者住所の分布との関連を明らかにすることを目的とする.方法は,病院の患者様のデータを基にArc GISを用いて分析する.対象期間は第1期2003年11月から2004年10月と第2期2007年11月から2008年10月のつくばエクスプレスの開通前後各々一年とした.分析項目は主病名,住所,年齢,性別,入院患者と外来患者の各々のデータについてである.これらのデータは再来院や再入院の場合などに同じ患者データの重複を防ぐために匿名化したIDを割り振り対応している.

P-10 韓国晋州市の都市空間構造に関する研究
 趙 貞絃,崔 亨俊,金 興官,慎 庸殷,文 斗烈,白 泰Q
本研究は韓国の晋州市を対象に社会経済関連,人口関連データ等を地理情報システムのデータベースとして構築した上,多変量分析を行い空間構造を把握することを目的とした.晋州市を説明する7つの主成分を抽出したご後その主成分を用いたクラスター分析で晋州市を7つゾーンに分類した.また,地域のマスタープラン及び管理計画等の都市の将来像と比べその地域が志向すべき発展方向と目標について考察した.

P-11 多時期の空中写真を用いたブナ林の長期的変化の評価手法に関する研究
 鈴木 透,山根 正伸,笹川 裕史,金子 正美
現在,丹沢山地ではブナ林の衰弱・枯死が進行している.その原因として,大気汚染,ブナハバチの大発生,林床植生の退行等が複合的に影響していると考えられるが,原因を明らかにするために必要なブナ林の長期的な衰退状況はわかっていない.そこで本研究ではブナ林の長期的な変化を評価する手法を検討するために,1970年代から2000年代の多時期の空中写真を用いたデジタル写真測量を行い,ブナ林の変化を捉える指標を検討した.

P-12 里山景観の3次元可視化に向けたランドスケープユニット活用の可能性
 菊池 佐智子,輿水 肇
松井ら(1992)が提案した微地形と植生の有意な組み合わせから得られたランドスケープユニット(LU)を用いて,菊池ら(2008)はレンズ付きフィルムとGPSを用いて作成した地域イメージ特性データとの関連性を議論した.本稿では,里山景観の3次元可視化に向けて,景観写真に占めるLU構成割合,景観注視位置の空間解析結果と,LUに視覚的景観の意味を付加したVisual Landscape Units (VLU)作成に向けた課題を議論する.

P-13 保育所アクセシビリティの空間分析‐東京都文京区の事例‐
 河端 瑞貴
子育て支援の環境整備が重要な政策課題となっている中で,保育所の不足が深刻な社会問題となっている.本研究は,多数の待機児童が報告されている東京都文京区を対象に,GIS(地理情報システム)と詳細な空間データを用いて保育所アクセシビリティの状況を空間的に分析した.その結果,保育所需給のミスマッチを表す保育所アクセシビリティは,地区や児童の年齢により異なること,保育所の新設が望まれる地区などが明らかになった.

P-14 農産物流通モデルの構築:重力型モデルの適応可能性と地域特性の分析
 頼 理沙,吉田 喜久雄
地理情報システム技術を用い,ヒト健康リスク(化学物質への曝露)の曝露要因の空間的特性を解明するため,空間的相互作用モデルによる農産物の流通モデルの構築を行い,放出性・吸引力・距離の要因パラメータの選択およびモデルの適応可能性を検討する.その上,農産物流通モデルに基づき,地域特性の定量化を試み,食品のサプライチェーンを通じた化学物質の環境媒体間移行曝露への統合を目指している. 

P-15 多雪山地の山菜分布推定への知識ベースモデルの応用
 松浦 俊也,杉村 乾
東北地方日本海側の多雪山地では山菜採りが広く行われており持続的利用が求められる.山菜種ごとの自然分布や採取場所は,地形や植生の特徴から認識されることが多い.そこで各種図鑑類や地元の方々へのヒアリングにもとづき,山菜採り場の特徴をDEMと植生図GISを用いて捉え,ファジィ集合とAHP法を用いて表現する知識ベースモデルを構築した.結果,現地における山菜分布との対応関係が認められ,モデルの有効性が示唆された.

P-16 航空レーザー測量を利用したエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)不嗜好性植物ハンゴンソウ(Senecio cannabifolus)の拡大分布の把握 ‐原生自然環境知床岬での事例‐
 西 謙一,吉田 剛司,山下 亜紀郎,横尾 泰広,小荒井 衛
知床岬ではエゾシカによる木本樹皮への食害や不嗜好性植物の繁茂などが問題となっている.しかし知床岬への移動手段が限られているため,食害の被害範囲などの経年変化を把握するのは困難である.本研究は知床岬における生物多様性の保護や管理に役立てるため,航空レーザー測量により取得した詳細な地形データや植生三次元データを用いて,エゾシカの不嗜好性植物であるハンゴンソウの分布状況の把握を航空レーザー測量とGIS空間解析機能を用いて行う.


Session 2G 都市・地域解析(可視化・空間認知) 司会:大佛 俊泰

2G-1 「転職地図」を使った職業別労働市場の分析 ―地理情報システムの非地理空間への応用―
 磯田 弦
この研究ではGISを用いて職業間関係という非地理空間を分析する.まず,重力モデルにもとづき,前職と現職間の転職移動マトリックスから職業間の非類似度を計測し,これに多次元尺度法(MDS)を適用して2次元空間に職業を配置した「転職地図」を作成する.事例とした英国の標準職業分類の81職種は,ほぼ正確に職業間関係を2次元空間で表現しうることがわかった.この「転職地図」を用いて,GIS上で職業別労働市場の分析と職業間移動の分析を行うことができる.

2G-2 直角面積カルトグラム作成の新手法
 北浦 一輝,井上 亮,清水 英範
直角面積カルトグラムとは,面積カルトグラムの一種で,すべてのポリゴンの角が直角で表現されているものであるが,その計算機による作成手法は,いまだ提案されてきていない.そこで,本研究では,井上・清水(2005)によって提案された連続面積カルトグラムの作成手法を応用することで,新たな直角面積カルトグラムの計算機による作成手法を提案し,それによって実際に直角面積カルトグラムを作成することに成功した.

2G-3 GWRの応用による世界120ヶ国のエネルギー消費傾向の視覚化と予測
 古藤 浩
本研究では,世界の主要120ヶ国の石油換算エネルギー消費量の時系列データを対象とし,その傾向の視覚化と予測をGWR(Geographically Weighted Regression : 地理的重み付き最適化)の考えを応用しておこなう. 1990年からと2005年までの時系列データを用い,一人当たり及びGDP1米ドル当たりのエネルギー消費量を研究対象とする.そして,パラメータの安定性,GWRの予測への適用可能性について議論する.

2G-4 モバイル利用環境のための公共交通アニメーションマップの提案と実装
 貴田 達也,有川 正俊
近年,LBSには,経路・店舗検索などの静的な地理データを対象としたものに加え,鉄道・バス遅延情報通知などの動的な移動体を対象としたものが登場している.本研究では,従来のLBSと比べ直感的に移動体に関する情報サービスを行うためのインタフェースとして,公共交通アニメーションマップという概念を導入する.また,鉄道路線網を対象としたプロトタイプシステムをWEB・モバイル環境で実装し,その有効性を検証する.

2G-5 東京におけるタクシー運転手の地理空間情報利用と空間認知
 若林 芳樹,永見 洋太,伊藤 修一
東京のタクシー運転手を対象にして,営業地域に関する地理空間情報の利用と空間認知を調査し,カーナビなどの新技術の導入状況や輸送行動の実態をふまえて,その特徴を明らかにした.その結果,タクシーのカーナビ搭載率は7割近くに達するものの,その利用には運転手による差がみられること,タクシー運転手の空間認知が優れているのは相対位置の正確さにあることなどが明らかになった.


Session 3G 普及・活用(市民参加・まちづくり) 司会:関本 義秀

3G-1 市民参加活動団体向けGIS教育の研究
 今井 修
地域の中で活動を行う市民参加型活動団体の中ではGISに対する関心は高い.しかし,実際に利用するためのハードルが種々あり,GIS利用を実現している団体は少ない.そこで本研究は,国による市民参加活動団体のGIS意向調査などを踏まえ,その活動内容に応じて,ワークショップ形式を活用した市民参加団体向けGIS教育方法を研究し,GIS理解のとっかかりとなる点を中心に明らかにした.

3G-2 マップづくりを契機とした地域魅力の発信とまちづくりへの展開
 原 悠樹,稲葉 佳之,厳 網林
まちづくりの支援手法である地域情報化は,自然・歴史・文化等の魅力を利活用したまちづくりを進展させている.しかし地域情報化はインフラ整備のみならず,地域の社会特性に適合し,様々な主体のまちづくり活動を促進することが必要である.本研究は都市近郊農村における住民参加型のワークショップによる地域魅力マップの作成と地域情報化を契機に,住民・行政・大学が協働するまちづくりプラットフォームの形成プロセスを分析し,有効性を考察する.

3G-3 地域SNSを核とする住民参加型GISの開発とその活用モデルの提案
 窪田 諭,曽我 和哉,佐々木 敬志,瀧澤 寛之,深田 秀実,阿部 昭博
住民協働の地域まちづくりや地域コミュニティでの課題解決において,住民参加型GISを活用できる場面は多く,その普及が急務である.本研究では,地域SNS上に住民利用可能なGIS機能を強化したシステムを開発し,岩手県滝沢村をフィールドに検証した.さらに,システムを住民協働の政策立案やNPO活動に積極的に利用するために,その活用モデルとして,行政・NPO・大学などの役割や運用ルールを提案する.

3G-4 過疎農山村の将来予測とその地域活性化に向けた利用―別府市内成地区を事例に―
 東 良太,磯田 弦
過疎農山村では,高齢化と世帯構成の極小化が進行したことで,コミュニティーの存続が危惧されている.地域社会の活性化を考えていく上で,将来の集落の状況について当事者が共通認識を持つことが重要だと考えられる.本研究では,別府市内成地区を対象とし,将来における担い手の状況を現在の世帯構成から調べるとともに,耕作放棄されやすい農地を農地条件から調べることで,将来の農地利用を予測し,集落の将来計画を喚起する.

3G-5 ArcObjectを用いた行政向けのGIS-basedツールの開発
 澤田 貴行,蒋 湧
GISは地域情報時空間的に扱える総合情報システムに進化しつつあるが,高度な専門技術と高いコストは,2つのハードルとしてGISの普及を妨げている.GISの活用を進めている行政においても,国の機関や規模の大きな自治体を除くと,普及しているとは言えない.そこで本研究では,小規模自治体や住民にも簡単に扱える高度な空間情報システムと簡易なユーザーインターフェースの開発を目指し,ArcObjectを利用したGISベースのアプリケーションの研究開発を行った.


Session 4G 都市・地域解析(施設配置・空間移動) 司会:奥貫 圭一

4G-1 計画の頑健性を考慮した施設配置モデル
 目崎 明,大佛 俊泰
本研究の目的は,立地点に自由度を組み込んだ施設配置モデルの提案である.従来の施設配置モデル研究は最適解を中心に論じられてきた.しかし,都市施設の配置においては目的関数に組み込まれていない変数条件のわずかな変化が最適解の実現を妨げる要因となりうる.本研究では,p-メディアン問題を例にして,組み合わせ最適化における最適解近傍の配置において,組み合わせと評価値の両者の関係を把握できるモデルを提案する.

4G-2 地理的特性と移動手段を考慮した公共図書館選択行動モデル
 大佛 俊泰,津田 さやか
施設の利用圏の広がりは,移動コストに大きく依存している.従来までは利用可能なデータの制約から,移動コストは直線距離のもと与えられることが多かった.本研究では,GISのネットワークデータを用いて,地理的特性と移動手段の違いを考慮に入れた移動コストを考え,分析を試みる.具体的には,横浜市立図書館の利用者データを用いて,施設利用選択行動をネスティッド・ロジットモデルにより記述した.

4G-3 東京区部における都市施設分布と年齢別人口構成の地理的関連性
 大城 将範,鈴木 勉
本研究では,東京区部における都市施設(幼稚園,小学校,中学校,保育園,老人福祉施設,病院)に着目し,これらの施設の1980年〜2005年までの新設・廃止の状況をカーネル密度推定法を用いて表現し,各施設の密度変化の傾向によって地区を分類する.また,町丁目単位での年齢階層別人口割合の変化と新設・廃止の状況との関連性を分析し,特定の人口の入れ替わりが起きている区部の西側では施設の新設・廃止が少なく,高齢化が進んでいる地区では高齢化の進行時期に対応して小中学校の廃止が起きたことなどを示す.

4G-4 公開空地における滞留行動と空間構成要素との関係
 嶋田 圭佑,田中 一成,吉川 眞
都市の外部空間には,人々が昼食をとり読書をするような快適な空間がある.本研究では,人々が集まる快適な空間の空間構成要素を具体的に捉えることを最終的な目的としている.ここでは,大阪市内の業務地区における公開空地を対象として,滞留者調査および空間のしつらえ調査を行ない,多くの調査指標から多変量解析を行なった.その結果,滞留行動が起こる空間の構造を捉えることができた.

4G-5 ネットワークボロノイダイアグラム上での簡易旅行計画アルゴリズム
 藤井 健児,大沢 裕
LBSやカーナビでの応用を目的に,近年旅行計画に関するアルゴリズムの研究が活発になっている.一方,LBSにおけるデータ構造として,ネットワークボロノイ図に利用を想定した研究も多い.本研究では,ネットワークボロノイ図上における簡易旅行計画アルゴリズムを提案する.簡易旅行計画とは,始点と終点のほかに1つのPOIの種別が指定されたとき,その種別のPOIを経由する最も距離や旅行時間が短いルートを求める検索である.


Session 2H 都市・地域解析(ネットワーク・道路網解析) 司会:後藤 寛

2H-1 ネットワーク空間上における空間的解析ツールの開発
 佐藤 俊明,奥貫 圭一,岡部 篤行,岡部 佳世,塩出 志乃
本論文では,ネットワーク空間上の空間的解析ツールを開発したことを報告する.本ツールは,ネットワークボロノイ図生成機能,ネットワークカーネル密度推計機能,ネットワーク点分布パターン解析機能,ネットワーク補間機能などの機能を有する.なお,本ツールは大学関係者に対しては所定の手続きを経ることにより無償で提供される.

2H-2 ネットワーク空間相関分析法の統計的検定
 内藤 智之,大佛 俊泰
本研究では,ネットワーク空間において,各地点における都市活動要素を周囲の活動要素から推定する「空間影響モデル」の構築を試みる.更に,都市・地域に分布している様々な特性の空間的な相互依存関係を定量的に把握するために利用される「空間相関分析法」について,利用者が各特性の空間的影響関係を誤りなく容易にイメージできるよう,推定値の統計的検定の実用的計算手法について検討する.

2H-3 位置情報を用いたネットワーク解析による大阪の都市構造の把握
 深堂 暢之 ,田中 一成 ,吉川 眞
人々は都市空間内を移動する際に,さまざまな情報を頼りにしている.その中でも多くの人々に情報を効果的に提供している駅看板に着目し,大阪の都市構造を把握することを目的としている.方法は駅から駅看板が示す位置までをネットワーク解析により距離を把握,各駅の分布傾向を割り出している.さらに,駅周辺の土地利用にも着目することで,さまざまなスケールから都市構造を把握することができた.

2H-4 東京都区部における道路網形態の評価
 渡部 大輔
本研究では,東京都区内を500メートルメッシュで分割した地区を対象に,数値地図25000データを用いて各地区の道路網整備の特徴について形態指標により分析した.道路網形態の特徴を把握するために,道路密度と結合性を評価する形態指標を用いて地区分類を行い,格子状道路網が整備されている都心部及び耕地整理または土地区画整理事業が行われた市街地を抽出した.

2H-5 消防活動困難区域の有無に着目した道路網評価
 薄井 宏行,浅見 泰司
路地を積極的に残す法制度として3項道路規定がある.本規定の指定基準の一つに「街路が整った地区」という基準がある.ところが,街路が整っているかどうかを評価するための方法は本規定で示されていない.本研究では,消防活動可能性の観点から街路が整っているかどうかを評価した.GISを用いて東京23区における消防活動困難区域を把握し,幅員6m以上の街路網で囲まれた閉領域における消防活動困難区域有無に着目して「街路が整った地区」を把握した.また,消防活動困難区域が存在しない道路網形態について定量的に示した.


Session 3H 歴史環境(歴史・地域研究) 司会:佐藤 英人

3H-1 茨城県南地域における明治期の市街地分布特性
 王尾 和寿,鈴木 雅和
茨城県南地域は,江戸時代から昭和初期にかけて鬼怒川,小貝川沿いに豊かな水田地帯が形成されるとともに,物資輸送の舟運を中心とした生活・産業圏が成立し,現在とは異なる土地利用や景観がみられた.そこで本研究では,同地域を対象に明治期の土地利用復元を行い,当時の土地利用特性を明らかにした.特に市街地の分布傾向に着目し,自然環境(地形条件や河川)および社会経済環境(鉄道,道路の立地)との関連を中心に分析を行った.

3H-2 考古遺物の時間属性表現を目的とした地理情報標準準拠の編年参照系モデル
 村尾 吉章,碓井 照子,森本 晋,清水 啓治,藤本 悠,清野 陽一,山本 由佳
考古学における発掘調査で明らかになる遺構や遺物は,空間特性と共に時間特性が重要な管理属性項目となる.しかし,その時間特性は,現代の地物がもつそれとはいささか性質を異にした「編年」によって取り扱われることが多い.本稿は,地理情報標準の順序時間参照系を拡張し定義した「編年参照系」を提示することによって,考古学情報としての地物に対する実際的な時間属性の設定方法を明らかにし,その汎用性と有効性を考察する.

3H-3 姫路における変遷景観の把握
 織野 祥徳,吉川 眞,田中 一成
城郭都市である姫路は,近代化に伴い都市構造が大きく変貌を遂げてきた.しかし,姫路城は現在もなお健在である.また姫路城は,世界文化遺産,国宝であるとともに,日本名城百選や平成百景にも選ばれるなど,その歴史的価値は高い.本研究では,城の見え方に着目し,過去から現在における姫路市街地の変遷景観を分析・把握している.また,視覚的影響が大きい樹木を考慮した分析を行うことでより現実空間に近い分析・把握を試みている.

3H-4 東京・大阪大都市圏における旧版地形図からの土地利用メッシュマップ作成と土地利用変化の分析
 山下 亜紀郎,阿部 やゆみ,奥 淳
本研究は,日本の二大都市圏である東京と大阪を対象として,5万分の1旧版地形図から土地利用メッシュマップを比較的簡便に作成する方法を提示し,各時期の土地利用の分布状況と過去から現在に至る変化を把握することを目的とした.本研究の手法は,都市圏のようなある程度広範囲を対象とし,海外の地図や旧版地形図などを用いて同じ尺度の土地利用図を作れる汎用性があるものといえる.

3H-5 京都市における地域名称を名称に含む建物の空間分布に関する基礎的検討
 桐村 喬
本発表の目的は,京都市を事例とした,地域名称を名称に含む建物の空間分布に関する基礎的な検討を行なうことである.まず,地域名称を名称に含み得る建物の空間的な広がりについて概観し,地域名称を名称に含む建物の空間的なパターンと,都市の内部構造との関連性について検討する.地域名称を名称に含む建物は市街地に万遍なく広がり,都心部では通り名が,周辺部では大字や学区名を名称に含む建物がそれぞれ卓越し,都市内部構造との関連が指摘できる.


Session 4H 都市・地域解析(歩行・移動) 司会:井上 亮

4H-1 動線解析プラットフォームによる東京都市圏パーソントリップ調査データの時空間内挿の実現とその利用
 薄井 智貴,金杉 洋,関本 義秀,南 佳孝,柴崎 亮介,中野 敦
人の流れプロジェクトでは,東京都市圏パーソントリップ調査を基に,被験者の一日の移動を1分毎に時空間内挿したデータを提供している.これまでサンプル7万人分を提供してきたが,今回,全数である72万人分の時空間内挿を実現し,データ提供を開始した.本稿では,全数処理にあたり,データの時空間内挿手法とイレギュラーデータ処理,ジオコーディング手法などを提案すると共に,PT調査データの活用促進を目指す.

4H-2 生活環境データに対するファジィAHPの適用法の検討
 川村 真也,橋本 雄一
本研究では室蘭市を対象地域とし,高齢者の歩行行動を空間的に把握し,歩行空間をベースとした生活空間の解析により,高齢者の視点に立った都市の生活環境特性を解明することを目的とする.聞き取り調査とファジィAHPによる空間解析を行った結果,居住地から身近な歩行路において,前期高齢者と後期高齢者の評価の違いが解明されるなど,高齢者の視点に立った生活環境特性が解明され,ファジィAHPの空間分析への有用性が確認できた.

4H-3 Evaluating walkability in Tsukuba using remote sensing and GIS
 タパ ラジェッシュ バハドール,村山 祐司
Enhancing community environments to support walking and bicycling is a promising approach to increase population levels of physical activity. This paper examines walkability (walking & bicycling) areas in Tsukuba city and presents the results creating Walkability WebGIS. ALOS image, Zenrin and road maps are used for the study. Based on spectra recorded in the satellite data, greenness index is computed to highlight urban greeneries in the walkable area. An extensive fieldwork was also conducted to verify the results and record photographs. From well settled to tranquil areas are also identified to better inform the walkers or bicycle riders. Walkable routes are further graded into five levels of suitability ranging from very low to very high for walkability. A practical Walkability WebGIS including easy-to-use help system is developed in ArcGIS Server to disseminate the walkability results to the Tsukuba residents. Search and proximity analysis functions are also provided in the system. In this system, the residents can freely explore the maps and use spatial functions to understand their surrounding walkability environments and print maps for their daily usage.

4H-4 健康のための歩行習慣に影響する自然要素の評価
 佐藤 祐子,佐土原 聡,吉田 聡
健康のための歩行習慣に都市空間の自然環境の要素がどれだけ影響しているのかはこれまで充分に明らかにされていない.本研究では,横浜市の某ウォーキンググループの同行調査,某地域における日常生活における歩行に関するアンケート調査をもとに,歩行経路をGISデータ化し,都市空間の自然要素が歩行距離,歩行経路にどのような影響を与えているのかを定量的に分析した.その結果,ウォーキング経路では自然要素のある経路の選択行動が明らかになり,日常歩行でも自然要素により迂回経路をとる等で歩行距離に影響を与えていることが分かった.

4H-5 集落の空間的類型と交通アクセシビリティ評価 ‐大分県佐伯市を事例として‐
 進 正人,才木 淳,小林 祐司,佐藤 誠治
近年の車社会の進展により,人々の生活圏域は拡大している.市域周辺部の集落は公共サービスや経済活動の中心から取り残され,中心部と周辺部の地域格差は拡大している.本研究では大分県佐伯市の171集落を対象とし,人口規模・産業構成・農業・都市機能の指標を用い,集落の類型を行う.類型から得られた集落の生活圏域の特徴と旅行速度を用いた自動車交通アクセシビリティを比較することで佐伯市全体の都市構造を把握する.