Session 1A GIS教育 司会:太田 守重

1A-1 地域課題の解決に向けたGIS人材育成プログラムの研究
 今井 修
本研究は、これまでの自治体や市民参加活動におけるGIS活用場面に基づき、地域課題の解決に有効な道具として認識するために、以下の4段階に分けた人材育成プログラムを組み立てた。第1段階は気づきの訓練、第2段階は空間的思考による訓練、第3段階は対策案の検討と合意形成の訓練、第4段階は対策効果の測定訓練という形で進めることにより、地域課題の対策を意識したGISの使い方を身につけることが可能になる。

1A-2 韓国におけるオンライン・オフラインGIS教育
 李 召熙・小口 高
本研究では,韓国におけるオンラインおよびオフラインのGIS教育について,2010年3月に行った調査の内容を紹介する.また,その結果に基づき,今後のGIS教育の方向を模索する.オンライン教育については,国家GIS教育センター(総括機関:国土海洋部,主管機関:国土研究院)による教育コンテンツを,オフライン教育については,GIS教育拠点大学及び空間情報分野特性化大学院として指定されている大学・大学院によって行われている教育内容を取り上げる.

1A-3 原爆痕跡のフィールドワークと地図作成ワークショップによる広島平和学習
 竹崎 嘉彦・岩井 哲・太田 弘・川瀬 正樹・崎 将智・佐々木 緑
学会中国支部でGISワークショップを8月6日の「広島原爆の日」を間近にした8月初めに毎年広島で開催してきて,5年目になる。広島市街には原爆で被爆した建物や樹木,橋などが多く残されている。市内を歩いてこれらを探りあて,地図に落とし込むワークショップを通じて,被災経験のない小学生から大学生までの若い世代に,被爆当時の広島を連想させ,平和への理解を深めてもらう。地図とGISを使って何ができるか,というGIS教育の展開を報告する。

1A-4 TINとボロノイの重ね合わせルールによる等高線から尾根線・谷線を抽出するフリーソフトウェアの紹介と評価
 尾野 久二
 DEM の解析はグリッドによるものと、TIN によるものがあり、デジタルの地形解析手法の中心となっている。グリッドとは別に、等高線からできるだけ元の情報量を損ねることなく、地形情報を取得する研究がある。 Chris Gold は、TIN と Voronoi との重複関係より、 skelton 及び crust 作成するという画期的なアルゴリズムを開発した。Gold はこれまでの研究成果を自らのサイト(http://voronoi.com)で公開している。本論ではサイトで公開されているソフトHKTM(Hong Kong Terrain Modelling MultiMesh)の紹介と評価をおこなう。


Session 2A 景観 司会:若林 芳樹

2A-1 大阪市における緑の拠点とネットワーク
 荒木 実穂・吉川 眞・田中 一成
現在、緑が持つさまざまな機能について関心が高まっている。大都市では、多様な緑化手法により、多くの緑を目にすることができる。こうした背景より、本研究では景観形成要素としての緑に着目し、大阪市内に存在する緑を対象として、拠点となる大規模な緑とネットワークを形成する緑の現状を把握している。さらに、緑の拠点とネットワークについてシークエンス景観の観点より分析を行っている。

2A-2 都市空間における夕暮れ要素の抽出?建築物のガラス窓に着目して?
 杉山 剛・田中 一成・吉川 眞
時間の変化とともに幻想的な景色へと変化する夕暮れ時は、昔から魅力的な時刻とされている。本研究は、都市空間内で感じにくいと考えられる夕暮れについて、これを感じる時間と物理的な要素・形態との関係から、夕暮れの始まりと終わりの抽出方法等について知見を得ることを目的とする。建築物のガラス窓に着目して、視点場の位置と周辺環境の明るさ、反射について調査・分析を行い、これらの関係を明らかにした。

2A-3 MMSデータを用いたディジタルシティの構築に向けて
 天野 貴文・吉川 眞
本研究は,ディジタルシティの構築を図るため,MMS(mobile mapping system)データを用いたキューブベースの都市モデルの構築を試みた。具体的には,まずMMSデータを3次元的に正規化(キューブ化)し,任意時間におけるレーザ発射装置とレーザ反射点間を視線と見立て,両者間のキューブをくりぬく。次に,MMSでは取得困難な建物上面の値をLIDARデータで補完することで,簡易な都市モデルを構築した。

2A-4 京町家GISデータベースの構築とその活用
 飯塚 隆藤・松本 文子・瀬戸 寿一・西 天平・矢野 桂司
本研究は、京町家GISデータベースの構築とその活用について報告することを目的とする。歴史都市京都では、2008年10月から2010年3月までの約1年半の期間、京都市と(財)京都市景観・まちづくりセンター、立命館大学の三者が主体となって、京町家まちづくり調査を実施した。そこでは、京都の景観を構成する重要な要素である京町家を対象に、約5万軒を調査し、京町家GISデータベースを構築した。本研究では、今後の活用も含めて検討したい。


Session 3A 自治体1 司会:阪田 知彦

3A-1 AED電子マップの効果的活用法に関する研究
 鶴成 悦久・山﨑 利夫・市園 成一郎・庄村 幸輝
心肺停止者の救命率向上を図るため,地域住民が多く立ち寄る公共施設や民間商業施設などへのAEDの設置促進や,整備情報の提供は自治体にとって急務ともいえる.そこで鹿児島県姶良市の消防本部はAEDの効果的活用を図る目的で,産官学連携によりAEDの設置情報提供システムを構築した.電子国土Webシステムを活用して構築した同システムはAEDに関した情報を登録や提供し,携帯電話による利用も可能である.本稿では「あいらAEDマップ」の構築について報告するとともに,同マップの活用法の可能性について述べる.

3A-2 時空間データベース処理による自律情報協調型自治体システムの研究
 角本 繁・古戸 孝・畑山 満則・一宮 龍彦・小杉 幸夫・吉川 耕司・佐藤 優
時空間データベース処理によって自治体の情報管理の体系化と改善を図った。長距離無線LANと携帯無線を併用するアドホック通信を用いる自律情報協調処理と組み合わせて、独立機関で相互の拘束がない情報連携を実現した。緊急時には広域連携により地域の安全安心を守る自治体システムの実装を行った。罹災関連業務を担保する固定資産管理、口蹄疫事前対策などの行政業務に適用して、維持管理を含めて行政システムの経費削減ができる見通しを得た。

3A-3 自治体情報システムを支える時空間情報処理基盤の開発
 古戸 孝・角本 繁
阪神・淡路大震災以降、防災関連処理を含めた自治体の情報システムに対する要求は、年々高まっている。さらに、情報システムが管理・処理すべき情報量も増加の一途をたどっている。従って、情報を管理するエンジン部の性能がシステム全体の性能に大きな影響を及ぼすこととなる。本発表では、現在、開発・拡張を進めている自治体情報システムのエンジン部である時空間情報処理基盤について説明する。

3A-4 情報システムを活用した口蹄疫問題への対応
 一宮 龍旗・渡部 正騎・小林 智一・一宮 龍彦・佐藤 優・玉置 昌史・角本 繁
鳥インフルエンザ、口蹄疫などの畜産農家における伝染病対策が求められている。北海道では、口蹄疫は発生していないが、放牧が行われているため、汚染の不安は大きい。そこで、清武町の鳥インフルエンザ対策を参考に、時空間GISで状況を把握できるように事前準備を行った。放牧に関しては、移動が問題になるので、時空間データベース処理の特徴を生かして、移動経路と時間データとして登録・整理し、状況判断と意思決定に使えるようにした。


Session 4A 自然・環境1 司会:山本 佳世子

4A-1 湖沼連続水温測定のためのセンサネットワークとその動作結果
 尾潟 照一・菅原 新一・牧野 秀夫
従来,湖沼水温長期連続調査は一般には人的費用と時間をかけて実施している.しかし,この方法ではピンポイントの水温データしか収集することができない。そこで本研究では新潟県佐渡市加茂湖において、4カ所の地点で水深の異なる2箇所にセンサーを設置し1時間のインターバルで自動的に水温を記録した.次に,そのデータを携帯通信カードによりメール送信するセンサネットワークシステムを構築した.その結果,平成22年3月より現在まで,加茂湖の日内変化等の把握がWeb上で可能となった.発表では,溶存酸素についての測定結果も紹介する.

4A-2 地理情報標準および専門用語集を用いた地球観測データの分野横断的利用支援システムの開発
 小野 雅史・長井 正彦・杉本 賢二・柴崎 亮介
津波、洪水、異常気象、気候変動、疫病、貧困や食糧危機などのグローバルな問題に対応するためには、地球観測データの効果的な利用基盤が必要不可欠になる。衛星データや気象データなど、地球観測データは非常に多種多様であるが、地理空間情報と関連付けられているものが多い。そこで、地球観測データの分野横断的な利活用を支援するために、地理情報標準ならびに地理情報科学用語集を用いた相互利用支援システムを開発した。

4A-3 三方湖自然再生に向けた情報プラットフォームの開発
 熊谷 潤・長井 正彦・柴崎 亮介・松原 剛
福井県三方湖を対象にして、湖沼とその周辺環境を含む水辺生態系の自然再生に寄与する総合的な環境研究を、生態学や人文社会学など他分野にわたり実施している。本研究では、三方湖自然再生に関わる様々な異質な情報を統合的に整理し、地図上に視覚化することで、時空間的に自然再生に向けた研究をサポートするシステムの開発を行った。

4A-4 Google Earthによる簡単でわかりやすい生物多様性情報の提供
 山田 秀之・松永 義徳・浦山 利博・田巻 豊・山田 陽子・清水 乙彦
環境省生物多様性センターが管理する植生図、巨樹巨木、藻場、サンゴ礁等の生物多様性情報について、専門家のみならず一般利用者にも簡単でわかりやすい情報提供を実現するため、Google Earthによる提供システムを試作した。その結果、広く一般国民への情報提供が実現し、利用者の利便性が向上したほか、情報発信者側の職員によるデータ管理、更新も日常業務の中で平易に行えるようになり、メンテナンス性が向上した。これにより、今後、生物多様性情報の一層の普及促進が期待される。


Session 5A 防災・防犯1 司会:畑山 満則

5A-1 ハイチ地震で見られた地理空間情報技術の活用による災害対応支援の新動向
 川崎 昭如
ウェブマッピング技術の急速な発展により、災害対応支援のあり方が変わりつつある。従来の地理空間情報を使った災害対応は、政府・自治体や災害救援機関の専門家集団による中央集権的な対応が主流であった。しかし、2010年1月のハイチ地震では、従来型の災害対応に加えて、ネットワーク型の災害対応コミュニティによる、より動的でオープンな災害対応支援が展開された。本稿では、ハイチ地震の対応活動を分析することで、近年の地理空間情報技術の発展が、災害対応活動支援にどのような影響を与えているかを概括する。

5A-2 OGC相互運用技術と拡張現実技術を活用したスマートフォンによる災害リスク可視化システムの開発
 臼田 裕一郎・田口 仁・長坂 俊成・東 宏樹・福本 塁
近年進展著しいiPhoneやAndroid端末等のスマートフォンを活用し、現在地の災害リスクを可視化するシステム「災害リスクファインダー」を開発した。本システムは、①GPSにより現在位置を算出、②OGC相互運用技術WMS/WFS/WCSにより各種災害リスク情報を獲得、③拡張現実(AR)技術によりカメラを通じて得られる現実の映像に災害リスク情報を動的に重ね合わせて表現する、という流れで稼働する。

5A-3 国際消防救助隊活動支援のための空間情報通信システムに関する研究―ハイチ地震の震度分布及び建物被害分布の推定―
 鄭 炳表・細川 直史・座間 信作・滝澤 修
2010年1月12日発生したハイチ大地震は、死者数が20万人をこえる程の大規模な災害となった。このような大規模地震では、まず、被害がどの地域に集中しているかなどについて、できるだけ早期に把握し、次に、例えば国際消防救助隊のような限られた防災資源を迅速に投入する必要がある。そこで、甚大な被災地域をいち早く把握する一つの試みとして、衛星データから得られるDEM(Digital Elevation Model)及び人口データを用いて、2010年1月12日に発生したハイチ地震の震度分布及び建物被害分布を推定し、地震後公開された高分解能の衛星データに基づく建物被害分布と比較検討を行った結果、おおむね対応していることを確認したので報告する。

5A-4 相互運用方式によって実現した高解像度衛星画像の参加型マッピング-ハイチ大地震を事例として-
 田口 仁・臼田 裕一郎・長坂 俊成
高解像度衛星画像は災害直後の被災状況を面的かつ広域に把握するための有効なデータであり、多様な目的のために、多様な主体によって活用されるべきである。そのためには、データの流通方式を統一することが望ましく、地理空間情報の国際標準のインターフェースへの準拠が最適である。今回、ハイチ地震直後のALOS画像をJAXAから提供を受け、筆者らが開発した相互運用方式に対応した配信サーバからWMSで公開した事例を報告する。


Session 1B 日韓合同セッション1(自然・環境) 司会:柴崎 亮介

1B-1 Harbor Structures Modeling Using Multibeam Echo Sounder Data
 Doo-Sung KIM

1B-2 Integration Of GIS And Multicriteria Evaluation For Cropland Allocation In The Tam Dao National Park Region, Vietnam
 Duong Dang KHOI and Yuji MURAYAMA
位置に関連した情報サービス(LBS)やカーナビでの応用を目的にOSR探索が提案されている。これは訪れるPOIカテゴリの順番が与えられ、それぞれのカテゴリのPOIを1つずつ順番に訪れる距離最小の経路を求めるものである。本発表では、出発地と目的地から同時に探索を開始する双方向探索と、発見した部分経路を記述するVPG(visited POI graph)という構造を用いた方式を提案する。実際の道路地図を用いた性能比較実験により、提案方式が従来方式に比して大幅な速度向上が達成されることを示す。

1B-3 A Study On The Administration Estimates of Water Use
 Yong-Min LIM
From the filtration plant until the house faucet the management system which is unified leads and efficient intelligence the method will be able to improve the management system which cannot relation research leads, escape

1B-4 Geomorphology And GIS: A Review With An Emphasis On Japanese Classic Morphometric Studies
 Takashi OGUCHI
地形学とGISとの関係について,その歴史的背景,欧米での発展と現状,および日本を含む東アジアでの発展と現状についてレビューし,今後の展望を述べる.特に,20世紀の前半~中期に日本で行われた,地形計測の研究のいくつかを紹介し,GISやデジタル標高モデル(DEM)の登場以前の時代に,手動で行われていた試みの歴史的意義を述べる.


Session 2B 日韓合同セッション2(防災・安全) 司会:浅見 泰司

2B-1 Urban Growth Simulation Considering Disaster Risk in Provincial Cities
 Kojiro WATANABE
本研究では、土地利用計画に防災的視点を反映させるための支援ツールとして、災害危険度評価を組み込んだ市街化予測モデルを開発した。対象地域は徳島都市圏である。まず、国土交通省が公開している簡便な災害危険度評価手法により対象地域を評価し、この結果を、セルオートマトン型市街化予測モデルに制約条件として組み込むことで、災害危険性が高い地域で開発を制限した場合にどのような市街地形態となるのかを予測した。

2B-2 Spatial Implications Of Using Euclidean Distance In Predicting The Use Of Oriental Medicine Hospital
 Kwang-Soo LEE and Jeong-Soo LEE
This study purposes to analyze whether the patients’ visits to oriental medicine hospitals were differed by the Euclidean distance from patients’ residence to oriental medicine hospitals. Patient visits of two oriental medicine hospitals in a metropolitan area were selected for study sample. The number of patient visits from each Dong to two hospitals was calculated based on inpatient claims in 2008. ArcGis is used to calculate the distance.

2B-3 Prototype Modeling Of Information Sharing System For Evacuation Support For Vulnerable Citizens In Disasters
 Hajime KAWAMUKAI, Haruhiko NISHIMURA and Isao SHIRAKAWA
本研究は、避難訓練などを通して認識された災害時要援護者の避難活動にあたっての地域における避難経路上の通行のさいに発生すると考えられる課題について、ロケーションベースシステムを利用しながら取得し、認識された課題を蓄積することで、地域における災害時の要援護者の避難の容易性を確保するよう、地域の関係者間で共有する取り組みを行うためのプロトタイプ構築について解説する。

2B-4 Spatial Analysis And Public Paricipation System For Crime Presevention
 Tae-Heon MOON
Crime has been increasing two or three times more than 30 years ago and became serious social problems in Korea. Thus this paper intended to investigate the spatial characteristics of crime happening through the Exploratory Spatial Data Analysis (ESDA). In addition this study tried to develop ‘Map-based On-line Public Participation System’ which anyone can access and upload regional crime information. This system is anticipated to make regional crime map and help to reduce crime and give valuable information for developing U-Crime prevention service in Ubiquitous City (U-City).


Session 3B 自治体2 司会:角本 繁

3B-1 都市計画基礎調査に関する空間データ製品仕様書の試作
 阪田 知彦
本報告は、都市計画法第6条に基づき実施されている都市計画基礎調査におけるGISの利活用を進めるための検討の一環として、空間データ製品仕様書のサンプルの試作に関するものである。今回の試作では既存の実施要領の調査項目を、GISでの管理に適した内容に組み替えるなどにより、従来の調査結果との継続性を考慮した検討を行った。

3B-2 Applications of GIS for Urban Development and Housing in Ulan Bator city, Mongolia
 Amarbaysgalan Amarsanaa・張 長平
In recent years, redevelopment of ger area is one of important issues in Ulan Bator city. In this paper we discuss current GIS applications in urban development and housing sector and future trend of development of GIS system. As there are several agencies using GIS system for their operations, we are still facing problems with lack of cooperated effort of those applications while a spatial database are created and managed by the Construction, Urban Development and Planning Department (CUDPD) of Ulan Bator city. In this paper we will present description of spatial database design and some results on implementation of the database. And we will discuss how to implement the sharing and interoperability of spatial data efficiently and make it accessible to the different agencies.

3B-3 発展過程を経た自治体GISにおける固定資産税部門での利用に関する考察
 青木 和人
初期の自治体におけるGISは,固定資産税など図面管理業務に特化した地理情報システムであった。そのため、日本の市町村において、最もGISが利用されている部門は固定資産税部門である。その後、GISは地域分析手法を用いた地理情報科学やWebGISによる地理情報サービスへと発展している。しかし、固定資産税部門では、未だ図面管理利用が中心である。本研究では、固定資産税部門での地域分析や地理空間情報提供のためのGIS利用の現状と可能性について考察する。

3B-4 クラウド時代に向けた空中写真の共同整備に関する費用分担の検討 ―熊本都市圏域をケーススタディとして
 大伴 真吾・山本 尉太・松下 博俊・中村 秀至・関本 義秀
平成21年に整備された「地理空間情報に関する地域共同整備推進ガイドライン」に基づき、熊本都市圏を対象とした空中写真の共同整備のための研究会を立ち上げ、撮影状況の実態調査、共同整備のための仕様及び費用負担のあり方に関する検討を行い、その結果を基に概算費用の算出及び費用負担シミュレーションを行い、共同整備における効果及び課題をまとめた。


Session 4B 自然・環境2 司会:山田 秀之

4B-1 上信越高原国立公園鹿沢園地におけるFOSS4Gの活用 ―Open Cafe Systemを用いた国立公園の利用と管理
 中村 和彦・福本 塁・杉浦 史門・中山 かなえ・齋藤 仁・古橋 大地・武 正憲・斎藤 馨・中山 悠
Web-GISの導入は自然環境の利用および管理の現場でも有益であるが、地図データや高速インターネット回線が無い、商用GISを導入する予算が確保できない、等の問題が発生する可能性がある。これらを解決する方法として、本研究では、FOSS4Gを用いて構築されたOpen Cafe System(OCS)を提案する。上信越高原国立公園鹿沢園地の利用と管理の現場へOCSを実際に導入し、OCSの有効性について検討する。

4B-2 水環境分野におけるWeb-GISの相互運用環境構築の試み―Open Cafe System(OCS)を用いたFOSS4Gの活用―
 福本 塁・岡内 俊太郎・中村 和彦・中山 悠・古橋 大地・佐山 公一・小川 耕・原 昇平・菊池 風奈・風間 ふたば
近年、水環境分野では観測データをWebコンテンツとして、長期モニタリングへ役立てる試みがある。広範囲のモニタリングをするには既存のWeb-GISが相互に運用できる環境が必要であるが現状は存在しない。そこで、本研究では、Yamanashiみずネットと携帯電話に対応し、かつ、FOSS4GパッケージであるOCSを組み込んだWaterVoiceの2つのWeb-GISについて相互運用環境を構築し、その実現性および拡張性を検証する。

4B-3 精緻な土地被覆データに基づいた透水面分布の空間的な連続性について
 熊谷 樹一郎・中島 善彰
ヒートアイランド対策として注目されている「風の道」の確保については,緑地などの透水面の保全を図るとともに,広域的な観点から透水面が連続する箇所の形成を推進する必要性が指摘されている.本研究では,「みどりの分布図データ」から得られた透水面データを基に,広域的な観点から透水面分布の空間的な連続箇所を抽出し,地域特性の把握を試みた.さらに,AMeDASデータ等の気象観測データを用いて,抽出結果と気温との関係について考察した.

4B-4 GISを用いたHorton解析による流域地形の特性
 五十里 和也・卯田 強
宗谷丘陵・大雪山火山群・日高山脈・屈斜路火山群は、さまざまな地形形成作用が働く北海道の代表的な山地である。これらについて起伏量や谷密度などを求め、Horton解析を行なった。その結果、地形的特徴が異なるにも関わらず、いずれもHorton則はおおよそ成立していることがわかった。しかし細かくみると、流路長や起伏量などの比が一定にならない流域も見られるため、Horton則は地形形成作用の違いによって成立しない可能性があることが示唆された。


Session 5B 防災・防犯2 司会:熊谷 樹一郎

5B-1 情報通信技術を用いた防災訓練のあり方に関する考察
 畑山 満則
近年,極端気象現象の増加により,安全で安心な社会のためには,防災の占める割合が大きくなっている.災害への備えとして全国各地でその地に対応した防災訓練が行われていたが,近年は現実に起こりうることを意識した手法が様々に提案されている.著者らのグループは,GISをベースとする情報システムを用いた訓練を十数回行ってきた.そこで,本発表では情報システムを活用する訓練に固有の特徴や情報システムの有効な場面,不要な場面について整理し,問題点の解決手段について考察する.

5B-2 地域コミュニティにおける防災情報システムの定着化についての検討
 臼井 真人・福山 薫
三重県の中間山地のある小さな集落では、QRコードとGISを連携させた情報システムを導入し、安否確認等の防災訓練を実施してきた。 こうしたシステムは、訓練時の利用だけでは定着化に程遠い。日頃から使いなれていないと、災害発生時にはほとんど役に立たない。 こうしたシステムの定着化を目指して実施してきた平時活動の試みについて紹介し、検討を加える。

5B-3 空中写真を活用した自然災害に対する地域住民のリスクコミュニケーション手法
 李 泰榮・田口 仁・岡田 真也・臼田 裕一郎・長坂 俊成
本発表では、eコミマップにより出力・印刷した紙の空中写真を活用し、親子で参加するジグゾーパズル形式の地図づくりゲームを通じて、地域の空間的・地理的な実態の理解に加え、災害時における地域の安全な場所や危険な場所、家族の待ち合わせ場所の確認など、自然災害時に対する地域住民のリスクコミュニケーション手法として、つくば市の竹園西小学校区で行われた防災活動における実証実験の事例を紹介する。

5B-4 eコミュニティプラットフォームを活用した災害ボランティア受援マップづくり
 長坂 俊成・岡田 真也・田口 仁・李 泰榮・須永 洋平・臼田 裕一郎
本研究は、地理空間情報の分散相互運用環境を有するeコミュニティプラットフォームを用いて、地域コミュニティが平時に災害時のボランティアの受け入れを想定し、災害ボランティアの活動を支援する情報共有の手法を提案するものである。


Session 1C 日韓合同セッション3(データベース・アルゴリズム) 司会:倉田 陽平

1C-1 Fast Optimal Sequenced Route Query Algorithm
 Htoo HTOO, Yutaka OHSAWA and Noboru SONEHARA
位置に関連した情報サービス(LBS)やカーナビでの応用を目的にOSR探索が提案されている。これは訪れるPOIカテゴリの順番が与えられ、それぞれのカテゴリのPOIを1つずつ順番に訪れる距離最小の経路を求めるものである。本発表では、出発地と目的地から同時に探索を開始する双方向探索と、発見した部分経路を記述するVPG(visited POI graph)という構造を用いた方式を提案する。実際の道路地図を用いた性能比較実験により、提案方式が従来方式に比して大幅な速度向上が達成されることを示す。

1C-2 Comparison Of Wireless Transmission Characteristics Between Zigbee Module And Magnetic Field Area Network(MFAN)
 Jin-Hyun CHOO
Comparison between Zigbee and MFAN for USN of U-City

1C-3 High-Resolution Urban Area Mapping Of World's Cities Using Satellite Images
 Hiroyuki MIYAZAKI, Koki IWAO, and Ryosuke SHIBASAKI
We will present development of global urban area map using ASTER satellite images, which has much higher resolution than that of existing global urban area maps. Moreover, we validated accuracy of the map using ground truth database developed from global gazetter. Our map will contributed to measuring geographical feature of urban (e.g. compactness, contiguity, and openess) and modelling land-cover and land-use change with socio-economical variables.

1C-4 Study On Advantage Of MFAN Technology For GIS
 Yoon-Seuk OH
MFAN means 'Magnetic Field Area Network', MFAN is new local area network technology. It has lots of advantage for underground facilities management. this paper is written why it has advantage for GIS, especially UIS(Urban Information System) Feild


Session 2C 日韓合同セッション4(都市・地域解析) 司会:小口 高

2C-1 Spatial Evolutionary Modelling In Zone Design For Location-Allocation Modelling
 Young-Hoon KIM

2C-2 Commuting And Urban Spatial Structure For Reducing Carbon Dioxide Emission In Seoul City
 Sohee LEE and Tsutomu SUZUKI
Many researchers have concerned on relationship and interaction between urban spatial structure and transportation system, moreover, brought to advance debates on environmental burden. In this paper, we examine the reduction effect of carbon dioxide emission by assessing several scenarios which are about constructing subway infrastructure and reorganizing urban spatial structure. We find out which urban spatial structure is mostly valuable to reduce carbon dioxide emission. This result could be useful to draw up the policy direction of spatial structure.

2C-3 The Development Of Marketing Information Service Platform Using Open API
 Myung-Hee JO
Recently, there is a trend of system development method, which uses Open API. Especially, there are some cases to manage branch shops such as bank, outdoor and community groups by using Open GIS. In this study, this MIS(Marketing Information Service) platform was developed by using Open API and shows the efficiency and reusability of system development methodology. Finally, it saves the time and cost according to user requirements.

2C-4 Spatial Modeling Of Urban Dynamics In The Kathmandu Valley, Nepal
 Rajesh Bahadur THAPA and Yuji MURAYAMA
The metropolitan region of Kathmandu valley, surrounded by complex mountainous terrain, has very limited land resources for new developments. As similar to many cities of the developing world, it has been facing rapid population expansion and daunting environmental problems. This research aims to model urban dynamics in Kathmandu using remote sensing and GIS techniques. Time series land use maps were prepared from satellite remote sensing techniques. A spatial model is developed in cellular automata framework and calibrated using the Bayesian approach. The model with different growth scenarios predicated the urban growth patterns for 2020 and 2030. Depending on local characteristics and land transition rates, this model produced noticeable spatial patterns of change. The predicted results show twice of the existing spatial pattern of urban growth in Kathmandu by 2030. Due to the topographical constraint, the existing urban space is already saturated in terms of resources, lands, green space, water, and other public facilities.


Session 3C データ変換・可視 司会:鳥海 重喜

3C-1 平滑化によるPTデータの時空間内挿の高精度化
 渡邉 淳人・中村 敏和・薄井 智貴・関本 義秀・柴崎 亮介
PTデータから人の流れを再現するためには、PTデータに含まれる出発点・到着点間の時空間内挿が必要である。しかし、PTに代表されるようなアンケート調査は、出発・到着時刻などの時間表記が0分や30分に偏りがちであるため、再現された人の流れは現実のものと異なってしまう。そこで、より現状に近い人の流れを再現するために、偏ったデータから実際の分布を推定し、出発・到着時刻を平滑化することが有効である。本研究ではカーネル密度推定により平滑化を行った。

3C-2 空間統計モデルに基づく面補間法の提案
 村上 大輔・堤 盛人
空間データの集計単位は多種多様であり、データの集計単位の変換が必要とされることも多い。そのような変換は面補間と呼ばれ、これまでにも多くの手法が提案されてきた。しかしながら、面補間で満足されるべきとされる性質である「体積保存則」と空間データの一般的性質である「空間的相関」の両者を同時に満足する手法はこれまでのところ存在しない。そこで本研究では、空間統計モデルの一つであるKrigingを援用して、両者を考慮した新たな面補間法の提案を行う。

3C-3 重ね合わせの神話と文献翻訳のたとえ話
 寺木 彰浩
地理情報は通常の情報とは異なり,位置をキーとして異なるデータソースから得られるデータを重ねることが可能である.そのためにデータ整備時の目的や制約条件をあまり考慮しない活用が行われ,結果が十分な精確さを持つかどうかの検証がされていない場合などが散見される.この問題の解決は難しく,系統だった解は未だ得られていないといってよい.本論文では地理情報の活用における留意点を指摘し,対応が困難な課題として広く共有することで,解決にむけた検討が行われることを期待するものである.

3C-4 建物ポリゴンの形状に関する特徴量とその傾向 ‐ 基盤地図情報を用いたケーススタディ ‐
 久保 一輝・寺木 彰浩
我々は,GISで取り扱われる空間データ上の建物ポリゴンの情報を用いて,異なる空間データ上の建物を同定する手法の研究を行っている.そのための初歩的研究として,(1)建物のポリゴンの形状を表現する特徴量としては何が有用なのか,(2)それらの特徴量にはどのような傾向があるのか,について地理情報レベル2500の基盤地図情報のデータを用いてケーススタディを行った.

3C-5 非連続面積カルトグラム作成問題の新解法
 井上 亮
非連続面積カルトグラムとは,円や長方形など単純な形状で地域を表し,その面積で地域の属性値の大きさを示す空間情報の視覚化手法である.本研究では,この作成問題の新解法を提案する.属性値に合わせて形が定められた円や長方形を,地理的隣接関係を可能な限り保持しつつ重ならないよう配置する問題として作成問題を整理,制約付き非線形最適化問題で記述し解を求めることにより,非連続面積カルトグラムが作成できることを人口データへの適用を通して確認する.


Session 4C システム構築 司会:嘉山 陽一

4C-1 3次元ステレオ画像計測のためのOGC WMSの拡張
 野中 秀樹・本間 亮平・土居原 健
インターネットを通じてステレオペアの航空写真を立体表示し、ここで3次元計測を行う技術としてWeb Photogrammetryがある。この技術を航空写真のみならず、広く衛星画像に対しても適用しようとする場合、航空写真とはセンサーモデルが異なるため、クライアントにおけるステレオ画像表示方法のほか、画像データやステレオ表示に必要なパラメータの配信方法が問題となる。本稿では、OGC WMSを用いてステレオ航空写真や衛星画像の配信を行う方法について検討する。

4C-2 WebGISを用いた道路維持管理のための情報ポータルの検討
 窪田 諭・菅原 貴衡・小澤田 貴泰・阿部 昭博
道路事業では,設計・施工や3次元データが生成されている.岩手県では,道路損傷や補修の位置,写真を共有するシステムが6年間運用され,データが蓄積されているが,様々な形式で散在しているため,迅速かつ効果的に利用できない.道路管理者が流通する情報を効率よく利用できる環境が必要である. 本研究では,道路維持管理を対象に最新で高品質な情報を利用するために,道路データモデルを構築し,これを核とするWebGISを用いた情報ポータルを検討する.

4C-3 携帯電話を用いたフィールドミュージアム案内システムの提案
 工藤 彰・窪田 諭・市川 尚・阿部 昭博
近年,まちづくりの取り組みとして,フィールドミュージアムが全国各地で行われている.本研究では,GPS機能付き携帯電話を用いて,ユーザの位置情報に応じて情報配信を行うシステムを検討する.プロトタイプとして,古地図や古写真・地域資源を表示させるシステムを試作し,まち歩きワークショップにて試用した.本稿では,プロトタイプ評価によって得られた知見を基に,フィールドミュージアム案内システムを提案する.

4C-4 環境NPO・NGOの活動支援に向けたWebGISの開発と運用実現性の評価
 大場 章弘・厳 網林
国境や人種の枠を超えて環境問題に取り組む環境NPOやNGOが増加している。環境活動を持続的に実施していくためには,各団体の活動情報を地理情報を用いて視覚的に管理することが重要である。そのためには,情報管理の技術と業務自体を組織の日課として,負担を少なく導入することができるかが課題である。本研究はこの問題をWebGISツールの開発と業務のマニュアル化によって解決を図り、業務効率の改善性を評価することを目的とする。


Session 5C 歴史・考古 司会:碓井 照子

5C-1 方言分布から見た文化事象の流通と滞留―岐阜県における方言分布の事例―
 小野原 彩香・藤本 悠
本研究では、NCDによって方言の類似性を評価すると同時に、地理空間に投影して仮説的文化圏を構築し、その仮説的文化圏を通して、縄文時代から現在に至る「時空間的文化研究」を行った。分析の結果、生活に関連する10種類の語彙に関して、3つのクラスターに分かれ、その結果は縄文土器の文様変化分析と似た傾向を示している。発表では、本研究における手法を提示すると同時に、異なる文化現象を同時に分析する方法を検討する。

5C-2 水都大阪における歴史環境の分析
 松村 隆範・吉川 眞・田中 一成
大阪は水都と称されるほど、堀川が張り巡らされており戦後から高度成長期にかけての都市整備によりその多くが埋め立てられた。しかし、現在でも堂島川、土佐堀川や東横堀川などが存在している。これらは水の回廊と称されており、「水都大阪2009」に代表されるようにこれら水辺への関心は高まりつつある。そこで本研究では、とくに堀川に着目し、水都大阪における都市景観の変遷を把握する。

5C-3 大規模で構造的な遺構への遺構情報モデルの適用
 村尾 吉章・碓井 照子・森本 晋・清水 啓治・清野 陽一・藤本 悠
遺構図で表現された情報を,地理情報標準に準拠したデータモデルとして構築した遺構情報モデルは,これまで比較的小さな遺構の集合を適用対象として研究を進めてきた。本研究では,その対象を墳墓・石室のような大規模構造物として構成された遺構や,磨崖仏のような立体的遺構などに広げ,その際の課題点を抽出し対応策を検討することによって当モデルの適用可能範囲を拡大するとともに,より汎用的かつ精密なモデルの確立を図るものである。

5C-4 祭礼から見る都市空間の分析
 石田 圭太・吉川 眞・田中 一成

都市はそれぞれ特有の歴史性を兼ね備えている。しかし、現代では日常生活から歴史を感じることは容易ではない。そこで、日本の魅力であり歴史性が強く反映されている社寺において、地域の文化が最も顕著に表現される祭礼空間に着目する。本研究では、江戸時代後期において刊行され、当時の風景を描写している図会と空間情報をもとに過去と現在の関連性を把握している。また、現在における祭礼空間の景観分析を試みている。

5C-5 戦前の六大都市における小地域人口統計データベースの構築
 桐村 喬
近年、Historical GISの流れのなかで、欧米では歴史的な統計データベースの構築が進んでいる。日本では、市区町村別の統計資料を中心とした同様の取り組みが進められているが、都市内部の分析に欠かせない小地域統計に関しては、十分になされていない。本発表では、戦前の六大都市における小地域人口統計に焦点を絞り、資料の収集とデジタル化を行ない、対応する地図データの整備も進めることで、近代都市におけるGIS研究の基礎的資料となる歴史的な統計データベースを構築する。


Session 1D 特別セッション:FOSS4G利用例紹介

【オーガナイザー】 嘉山 陽一

・GIS学会FOSS4G分科会立ち上げの挨拶
・FOSS4G2010バルセロナカンファレンス報告
・(独)科学技術振興機構(JST)平成21年度企業研究者活用型基礎研究推進事業「オープンソースGISと利用促進オープンシステムの研究」について
・文部科学省 衛星利用の裾野拡大プログラム:FOSS4G を活用した衛星データ利用のためのオープン・リソースの構築について
・Open WPS platform ZOOプロジェクトの紹介
・Open Cafe System(OCS)の紹介
・Alos for Amazonにおける FOSS4Gの利用

Session 2D データ構造・アルゴリズム 司会:佐藤 俊明

2D-1 自律型フィーチャを用いた業務指向のアーキテクチャの開発
 澤田 貴行・蒋 湧
地域が利用するGISシステムの開発として、自律型フィーチャを用いた業務指向のアーキテクチャを試みた。汎用GISアプリケーションは、主にGISオペレーターを対象に、マップオブジェクト指向のアーキテクチャを採用し、マップ作成の機能を提供する。本システムには、行政職員の利用等を対象に、定めた業務処理をシステムの機能として提供し、その機能に、業務ロジック、自律型フィーチャと動的なマップ表現という3つの独立なモジュールとして実装した。

2D-2 道路網上での距離に基づくk-NN経路探索
 橋本 知宜・Aye Thida HLAING・藤野 和久・大沢 裕・曽根原 登
LBSでの応用を目的として、道路網上での距離に基づくk-NN検索法が活発に研究されている。k-NN検索とは、検索点qの近くに存在するk個のPOIを求める検索である。一方、道路網上での距離に基づくk-NN検索では道路ネットワーク上での最短経路探索コストが多大になる。そこで、A*アルゴリズムをベースとした高効率検索アルゴリズムを提案する。これらのアルゴリズムでは、特殊な前処理を必要とせず、従来方式に比して数倍の探索時間短縮を図ることができる。

2D-3 地理オブジェクト同士の時間関係記述のための包括的な体系
 太田 守重・倉田 陽平
本発表の目的は,地理空間中で生起消滅するオブジェクト同士の時間関係を体系化することである.GISの分野では,変化するオブジェクトに関する研究は1980年代から行われてきたが,いずれもAllenの時間関係を基礎におくものだった.これに対し,Hornsbyは,IDの変化を伴うオブジェクト同士の時間関係記述を通じて,非線形の場合を含む時間関係を体系化しようとした.本発表では,さらに一般的な時間関係の包括的な体系を提案する.

2D-4 アクセス系集線の配備コスト最小化手法の構築
 中山 悠
通信ネットワークにおけるアクセス系集線に関して、その配備コストを最小化する構成は、ユーザ数や回線収容局の分布などの地理空間的条件から定まると考えられる。本研究では、地理空間的条件をもとに、配備コストを最小化する構成を導出する手法を構築することを目的とする。装置規模やネットワーク接続形態に関して、立地配分モデルを用いて配備コストの定式化を行い、それを最小化する構成を求めるプログラムをQuantum GISのプラグインとして実装する。


Session 3D データ取得・精度1 司会:関本 義秀

3D-1 大都市圏広域における住宅地価格の分布図作成
 嶋田 章・堤 盛
地価は都市構造を反映した指標の一つである。しかし、地価の面的な様相は公示地価などの既存の地価情報のみでは捉えにくく、大都市圏広域の地価を面的に推計した学術研究もほとんどない。本研究では、まず我が国の首都圏を対象にGISを用いて圏域全体で入手可能な変数を用意し、それらを組み込んだ空間回帰モデルを用いて少ない労力で簡易に住宅地価格の分布図を作成する方法を検討した。次に、この方法を他の大都市圏でも適用し、方法の実用性を検討した。

3D-2 携帯電話用いた移動体モニタリング
 藤野 和久・Htoo Htoo・大沢 裕・曽根原 登
近年車両位置の実時間モニタリングに関する研究が活発になっている.従来,実時間モニタリングでは,数分間に一度移動体がサーバへ現在位置を送信し,移動体のおよその位置を把握するものや,バスロケーションシステムを対象としていた.本研究では道路網上を自由に動く移動体を対象とし,移動体の経路履歴を用いることで通信頻度低く,地図データを持たない演算能力の低い端末で導入することの出来るモニタリング方式を提案する.

3D-3 Mobile Mapping Systemを利用した地下埋設物設計図の作成に関する効率化の評価
 松村 一保・安井 嘉文・川本 紀夫
モービルマッピングシステム(MMS)を利用した公共測量の事例として、道路台帳、下水道台帳などの更新業務が昨今紹介されている。本研究では、MMSのレーザスキャナー、カメラ画像から抽出できない地下の埋設管、暗渠などの地物が記載している設計図面を対象に、MMSを利用したデータ取得企業と設計会社とのコラボレーションにより、作業プロセスの見直しを行い、MMSを利用した設計図面の作成の効率化について調査検証を行った。

3D-4 経路履歴抽出の為のオフラインマップマッチング方式
 路 琳・藤野 和久・大沢 裕・曽根原 登
近年,移動体の動きに注目した研究が活発に行われている.その際に,移動体の移動軌跡を道路網上での移動に置き換える為にマップマッチングが必要となる.従来のマップマッチングでは,GPS 点とマッチする道路との距離と方向性の類似度といった異質の基準を同時に考慮していた.そのため,パラメータ設定が発見的になる傾向があり,汎用性に問題があった.本発表では,マッチングの手順を分割することで,異なる評価基準を別々に利用し,パラメータの少ない汎用性の高いマッチング方式を提案する.

3D-5 国勢調査基本単位区別集計データを用いた狭小商圏の人口推計 -町丁・字等別集計データとの比較-
 草野 邦明
国勢調査町丁・字等別集計データを使用して任意の地域の人口を求める場合、町丁目内は人口が均一に分布する「均一地域」と仮定する。しかし現実は異なり、町丁目内における人口分布には偏りが存在する。小地域の人口を推計するにあたり、特にコンビニエンスストアのような狭小商圏の業種においては、その偏りが大きな意味をもつ。そこで本研究では、町丁・字等別集計データ、基本単位区別集計データからコンビニエンスストアの商圏人口を推計し、商圏内人口の差を求めるとともに、商圏内人口の差が生じる要因について分析した。


Session 4D 自然・環境3 司会:磯田 弦

4D-1 水路網と植生分布との空間的関連性に着目した分析の試み
 熊谷 樹一郎・水嶋 翔吾
緑地保全・緑化推進を計画的に実施するために,都道府県レベル・市町村レベルにおいて様々な緑の基本計画が策定されている.市レベルの緑の基本計画には,緑のネットワーク化を考慮した緑の将来像図だけでなく,水域にも着目した水と緑のネットワークが示されている.本研究では,水路をネットワークとみなしたネットワーク空間分析を用いて,水路周辺の植生の分布状態を分析し,既存の緑の将来像図との比較を実施した.

4D-2 事業所間での排出量取引の可能性の検討
 佐藤 弘樹・山本 佳世子
本研究では、近年注目されている排出量取引に着目し、2005年度から東京都で独自に行われている温暖化対策の東京都地球温暖化対策計画書制度に参加している事業所が、仮想的に排出量取引を行った場合について検討する。具体的には、各事業所の限界削減費用や二酸化炭素排出量を考慮して、重みづけを行ってモデルを構築し、地理情報システム(GIS)を利用して、事業所間での取引の可能性について検討する。

4D-3 網走川流域における土砂流出実態:林道網の影響評価
 須貝 昂平・三島 啓雄・高田 雅之・柳井 清治
河川の水質汚濁指標のひとつである浮遊土砂は、河川内に生息する魚類などの水産資源,水利用に悪影響を及ぼす。浮遊土砂の主な発生源として,農地,斜面崩壊,道路法面等の河川近傍の裸地が挙げられる。しかし,有力な発生源のひとつと考えられる林道からの土砂流出機構については不明な点が多い。そこで,本研究では,網走川流域において,林道から河川への土砂流出実態とその発生要因を検討する事を目的とした。

4D-4 地理空間情報を用いた種の多様性の広域的分布推定
 高田 雅之・鈴木 透・北川 理恵・三島 啓雄・小野 理
北海道中央部の石狩低地帯及び周縁部を対象とし、既存文献をもとに鳥類及び植物の5kmメッシュ分布データを整備するとともに、景観要素に関する地理空間情報(土地利用、衛星画像の分類データなど)を用いて、各メッシュ内の景観要素別面積とその環境に依存する種の記録数との関係分析から潜在的な種数の推定を試みた。それらの結果と実際の記録種数との関係を評価し、生物多様性保全上の重要地域の抽出可能性について検討した。

4D-5 獣害低減対策視点から見た中山間農業地域の状況と課題
 矢尾田 清幸
近年、中山間農業地域で発生している獣害は、深刻となっており、行政や地元による様々な対策が講じられてきてはいるものの、十分な効果を発揮しているとは言い難い状況が多い。本報告は、獣害の状況を具体的に紹介し、京都府内で実施された獣害対策事業を対象とした調査結果をもとに、その低減に向けた課題を明らかにすることを目的とする。


Session 5D 土地利用・都市解析 司会:佐土原 聡

5D-1 ポリゴン型土地利用データを用いた時空間分析
 水谷 千亜紀
ポリゴン型土地利用データを対象に,複数属性を有する地物を対象とした時空間分析を行う.まず,土地利用の用途と形状の変化に着目して分析を行い,変化の類型化を行った.次に,ポリゴンの形状による変化の傾向を把握するため指標化を行う.事例地域として,茨城県つくば市を横断するつくばエクスプレスの3駅周辺をとりあげ,各類型や近接するポリゴンの特徴から土地利用遷移について考察する.

5D-2 人口分布と土地利用分布に基づいた広域的な市街地集積度について
 熊谷 樹一郎・森 翔吾
集約型都市構造を目指すにあたり,都市機能の集積を誘導する「集約拠点」となりえる地域を把握することが重要とされている.著者らは,人口分布と土地利用分布を対象に,空間的な観点から市街地集積度を分析する手法について検討してきた.本研究では,7市を含む2分の1地域メッシュで人口分布と土地利用分布をクラスタ分析や空間的自己相関分析に応用することで,空間的な観点からみた地域ごとの特性の把握を試みた.

5D-3 日常的施設の分類における主要要素の分析 -土地利用分類の標準化へ向けて
 花島 裕樹
本研究は,土地利用分類の中でも日常生活に密接に関連している施設を対象として,適切な分類体系構築することを目的とし,それに必要な諸条件を考察する.大学生,大学院生を対象にアンケート調査を行い,日常生活に密接に関連する施設(例えば,ショッピングセンターや市役所など)を「公共施設」や「商業施設」などに分類させた.その結果を基に,回答間で共通合意のとれている施設を洗い出し,その要因を検討する.

5D-4 都市空間構造モデルの比較に関する基礎的研究
 伊藤 香織
本研究は,モデル選択基準を用いて異なる都市空間構造モデルを比較する方法を探るものである.ここでは,MDL基準を用いて,都市空間要素の分布データのもつ空間構造の性質を捉えようとする.直交座標矩形分割モデルと極座標放射環状分割モデルという2つの基礎的なモデルを取り上げ,各サンプルデータセットがどちらのモデルの性質をより強くもつかを比較する.

5D-5 つくば市の時空間データセットを用いた交通網と沿線土地利用の時空間解析
 小荒井 衛・中埜 貴元
TXの開通により近年大規模土地開発が急激に進んでいるTX研究学園駅周辺の約15km2について、空中写真や衛星画像、資料調査により、1年以下の単位で地物の生成・消滅・変化を捉えて、交通網、土地利用、地形、建物、水系よりなる時間精度の高い時空間データを試作した。試作した時空間情報を使って、TXの開通による人為インパクトと土地利用の変化との相互関係を検討した結果を報告する。


Session 1E 特別セッション:科研プロジェクト「地理情報科学標準カリキュラムに基づく地理空間的思考の教育方法・教材開発研究」

1E-1 地理情報科学標準カリキュラムに基づく地理空間的思考の教育方法・教材
 浅見 泰司
2009年度より5年間かけて科研費基盤Aの「地理情報科学標準カリキュラムに基づく地理空間的思考の教育方法・教材開発研究」プロジェクトを行っている。以前の岡部教授代表のプロジェクトで開発された空間情報科学のコアカリキュラムをより詳細化して、BoK(知識体系)化し、それを教科書やe-learning教材開発に結びつけるとともに、GITキットを開発し、情報系教育に役立つシステムを構築する。また、空間的思考の概念を体系化し、それを身につけるための教育方法や教材開発を行っている。

1E-2 地理情報科学Body of Knowledge (BoK)の策定
 貞広 幸雄
前科研プロジェクトでは,地理情報科学標準コアカリキュラムを策定した.本プロジェクトでは,このコアカリキュラムに基づいて様々な教育方法や教材の開発を実施するが,コアカリキュラムには詳細な説明が含まれておらず,直接,教育方法の開発等に資することは困難である.そこで現在,コアカリキュラムをより深化したBok (Body of Knowledge)を作成し,web等を通じて公開する試みを実施している.本発表では,このBokの具体的な内容に関する報告を行う.

1E-3 地理情報科学標準カリキュラムに基づく教科書の作成
 矢野 桂司

1E-4 ウィキを活用したGIS教育の可能性
 小口 高・高野 誠二・南 佳孝・藤田秀之
GISの教材を整備し,インターネットで広く公開することは,GIS教育のために重要である.教材は講義もしくは実習に利用可能なものである.この種の教材を一個人や少数のメンバーが整備することは,労力などの点で困難をともなう.そこで講義用の教材の素案をウィキを用いてインターネットで公開し,それを多数の人が自由に編集し,充実した教材を作成する実験を行う予定である.本発表では実験の構想と準備状況を報告する.

1E-5 地理情報科学と空間的思考
 若林 芳樹・石川 徹


Session 2E 都市構造・広域分析 司会:矢部 直人

2E-1 市町村通勤データを用いた都市圏設定
 福本 潤也・北野 翔太

2E-2 エーレスンド橋架橋による国境を越えた都市圏形成への影響
 山下 潤
エーレスンド橋架橋後、コペンハーゲン都市圏とマルメ・ルンド都市圏間で国境を越えた交流が活発化している。しかし、これら2地域が1つの都市圏に統合されたことは実証されていない。この点に鑑み本研究では、架橋後にこれら2都市圏が統合されたかを検証した。通勤流動を用いた分析結果から、国境を越えた流動は年々増加しているが、単一の都市圏が形成されたとは言い難い状況にあることを明らかにした。

2E-3 明治・大正・昭和初期における琵琶湖淀川流域の人口分布変化
 山下 亜紀郎
本研究は琵琶湖淀川流域を対象とし、明治期の徴発物件一覧および大正・昭和初期の国勢調査といった歴史統計をGISによって地図化し、人口の分布特性とその変化について空間的に解析した。具体的には淀川流域の上下流区分および淀川本流からの距離圏別に地域区分し、琵琶湖流域に関しては、湖周長を8等分し各区間に流入する河川の集水域を導出した。以上のように区分された各地域ごとに統計データを集計し、その地域特性を明らかにした。

2E-4 中国における鉄道貨物輸送量に影響を与える要因に関する研究
 王 雷・玉川 英則
現在、発展途上国、特に人口増加の著しい中国やインドなどにおいては、経済発展に伴いエネルギー消費量が大きく伸びている。このような中で、長期的なエネルギー制御と有効利用のためには、輸送量に影響を与える要因を明らかにし、その適切な制御について検討する必要がある。本研究では、中国の行政省(日本の県に相当)レベルの人口・産業分布等の要因と鉄道貨物輸送量との関係を実証的に分析することを目的とする。

2E-5 セルオートマトンによるバンコク首都圏における一般廃棄物の発生分布予測
 井内 正直・松林 健一・吉田 城治・松井 武史
アジア地域では人口増にかかわらず一般廃棄物のエネルギー化やリサイクルはなかなか進まない現状にある。その有効活用を進めるためには、発生分布量の正確な把握とともに継続的かつ効率的に収集するしくみと、生成した製品やエネルギーを供給するしくみを構築する必要がある。 そこで、バンコク大都市圏を対象とし、物流効率を検討するために必要となる一般廃棄物の現在および将来の発生量とその分布を推計を行った。


Session 3E データ取得・精度2 司会:堤 盛人

3E-1 路線情報を加味した位置特定の手法に関する研究 -道路関連情報の比較-
 南 佳孝・関本 義秀・中條 覚・柴崎 亮介
近年,地理空間情報を活用したサービスが急速に広がっており,様々な情報を道路に関連付けて表現することが増えてきている.しかし,それらの情報の入手先や情報の表現方法は多様であり,実際にその情報が示す場所をピンポイントで特定するのは意外と困難なことが多いため,ある程度の誤差は許容しつつも道路上の位置を特定できる簡易な手法が非常に重要である.そこで,本研究では,地先名と路線情報を用いて道路上に位置を特定する手法を提案し,様々な道路関連情報でその結果を比較する.

3E-2 土地利用分類へのラクナリティ指標の適用
 北田 圭吾・ 福山 薫
複雑な反射放射特性を示す都市域では,衛星画像による土地利用分類は,反射放射特性による方法より,構造特性を考慮した画像解析が有効とされる.本稿では,構造特性を示す1つの指標であるラクナリティ指標を用いた土地利用分類を行い,地表のマクロな特性を抽出することができた.これにより,ラクナリティ指標を用いることで,陰影等の日射の当たり具合や地表の微細な構造変化に影響を受けない土地利用分類の改善が可能である.

3E-3 Building Landform Classification Maps from DEM: Alluvial Fan Extraction Method
 金 泰運・鄭 炳表・滝澤 修・細川 直史
Landform Classification maps are used in many areas such as disaster damage assessment, developmental conformity evaluation, and environmental study. For the high resource demand of the classification processes, such maps are not available in many regions including developing countries. Our ongoing research focuses on providing Landform Classification maps for those regions using DEM which is easily obtainable by remote sensing technology. In this paper, we propose an algorithm that extracts alluvial fans, an element of our landform classification, from readily available DEM supplied by SRTM. Then we tested the algorithm over the entire area of Japan, and found that the results were consistent with existing classification maps in terms of the number, size, and location of the alluvial fans extracted, thus confirming the applicability to the regions without classification maps.

3E-4 安価な路面平滑度測定機による障害物の位置推定及びその精度
 大友 翔一・岡部 篤行
車椅子利用者に益する道路平滑度データを収集する安価な機器を開発し、実空間で障害物位置推定の誤差を調べた。機器はボランティアが容易に自作できかつ安価であることを前提とした。まず機器の機能を説明し、次に機器が障害物をどの程度の誤差で推定できるかを調べ、さらに路面材質の差異をどの程度とらえることができるかを検討し、最後に平滑度データの地図表現法を示した。実験の結果、機器は実用に耐えることが分かった。

3E-5 MixedMapMatching手法を用いたGPSデータクリーニングサービス
 薄井 智貴・中村 敏和・金杉 洋・関本 義秀・柴崎 亮介
GPSによる人の実行動データの取得が容易になる一方で,取得した行動ログデータをいかに尤もらしい位置に補正し,有効かつ有用なデータとして利用するかが昨今の課題となっている.本研究では,著者らが提案しているMixedMapMatching手法を用いてファイルレベルのGPSデータ群を一括で補正処理し,ファイルに出力するサービスについて報告する.


Session 4E 自然・環境4 司会:高田 雅之

4E-1 道路縦断勾配の影響を考慮したエコルートによる自動車の燃料消費量削減に関する研究
 李 勇鶴・佐藤 俊明・岡部 篤行
本研究では、自動車の燃料消費量に与える道路縦断勾配の影響を実車両走行実験により定量的に分析し、道路縦断勾配をパラメータとする燃料消費量推定モデルを作成した。またこの推定モデルを用いて、渋谷区を対象に最短ルートとエコルート(燃料消費量最少ルート)での走行を想定したシミュレーション解析を行い、最短ルート選択に対するエコルート選択による燃料消費量の平均節約率を求めた。その結果、平均節約率が5%となり、エコルート選択による燃料消費量削減効果の有効性を示した。なお、実車両走行ルートの道路縦断勾配情報は株式会社パスコにより計測されたものであり、シミュレーションで使用した渋谷区の三次元道路ネットワークデータも同社が作成したものを採用した。

4E-2 北部九州遠賀川流域における完新統の三次元分布
 池見 洋明・ Tran Tu Anh・ 三谷 泰浩・月原 雅貴
人間活動の地形プロセスへの影響を評価するための基礎資料として,北部九州地域の遠賀川流域における第四系・完新統の三次元分布を作成した。第三系,更新統,完新統の地質境界は1/50,000地質図およびボーリングデータ(477地点)から決定し,スプライン法およびフィールド調査を実施して境界面を補完した。その分布を河川次数で整理した結果,流域面積と堆積量との関係は更新世と完新世で異なることがわかった。

4E-3 貯水池上流域における濁水発生要因のGISによる評価
 郭 めい・三谷 泰裕・池見 洋明・石丸 真也・檀 博
近年,ダム貯水池下流河川での濁水の長期化により、下流域での環境への影響が問題となっている。本研究では,貯水池上流域の幾つかの観測域において計測した濁度から貯水池上流域全域の懸濁物質流出量予測モデルを開発し、懸濁物質の流出特性を定量的に把握する。その結果とGISを用いて定量化した各種素因との相関分析により,崩壊面積,乱雑層が懸濁物質の流出に影響を与えることが明らかになり,この結果から貯水池上流域の潜在的な懸濁物質流出危険度を評価した。

4E-4 AHPを用いた自然管理地区における重要度メッシュの算出
 有馬 貴之・倉田 陽平
自然保護意識の高まりと自然体験需要の増加によって、国立公園や自然保護地区の適正な管理が急務となっている。それらの地区を管理、保全する上では、様々な立場や視点を考慮した、ゾーニングの指標となり得る重要度メッシュの算出が必要である。本研究はオーストラリアのフレーザー島を事例に、AHP(階層化意思決定分析法)を利用し、自然保護、自然体験、観光者間関係の3つの観点に配慮した包括的重要度メッシュの算出について検討した。

4E-5 ロバスト回帰法による土地利用の長期時系列変化の検出:ベトナム北部の棚田開発の持続可能性の研究
 磯田 弦・小林 祥子・サンガ-ンゴイ カザディ・神田 竜也・グエン フー グー・金 ?哲
過去の土地利用を判別するために、ロバスト・ロジスティック回帰法を用いて現況土地利用図を過去の衛星画像に回帰する方法を紹介する。過去の土地利用のグランドトルースを得るのは困難であるが、土地利用の過半数が変化していないと仮定できる場合には、この方法で過去の土地利用を推定することができる。事例として、1970年代以降のベトナム北部サパの水田分布の変化を調べる。


Session 5E ポスター紹介セッション 司会:高橋 信人

P-1 災害情報収集・伝達システム
 佐藤 壮紀・吉田 健一

P-2 航空レーザで把握した植生三次元構造による景観生態学的解析
 小荒井 衛・中埜 貴元・乙井 康成・佐藤 浩

 

P-3 オープンソースソフトウエア群で農村防災情報共有ジオ・ウエブを普及させるための実証実験と問題点
 山田 康晴

P-4 高密度DSMを用いた列車無線シミュレーション
 中嶋 幸宏・谷 憲樹・森 崇

P-5 東京23区の保育所需給の空間ミスマッチ
 河端 瑞貴

P-6 九州におけるランドスケープ単位空間の検討
 藤田 直子

P-7 絵図を歩こう江戸期の廿日市宿 ~GPS&PDAを使った歴史散策~
 三好 孝治

P-8 市民参加型調査による街路景観分析: 第3期京町家まちづくり調査を事例に
 瀬戸 寿一・松本 文子・飯塚 隆藤・矢野 桂

P-9 中国内蒙古自治区ホルチン砂地内植林地における樹木成長と立地条件の関係
 木村 詩織・厳 網林

P-10 平安京の3次元景観モデルの構築
 河角 龍典

P-11 空間的マイクロシミュレーションを用いた地震被害推定
 花岡 和聖・中谷 友樹・亀井 千尋

P-12 四川大地震からの震災復興と都市整備の最新動向
 吉次 翼・厳 網林

P-13 浸水被害常襲地区の空間特性に配慮した屋上緑化計画の検討
 菊池 佐智子・輿水 肇

P-14 地理空間情報の水平位置座標の誤差要因分析
 村上 真幸

P-15 道の駅の立地条件が経営状況に与える影響の分析
 真鍋 佑紀・厳 網林

P-16 FOSS4Gを活用した衛星データ利用のためのオープン・リソースの開発
 平敷 兼貴・森 亮・Venkatesh RAGHAVAN・嘉山 陽一・岩崎 亘典・吉田 大介・古橋 大地・Markus NETELER

P-17 ニホンジカと森林の統合的管理に向けたGISデータベースの構築に関する研究
 鈴木 透・山根 正伸・笹川 裕史・羽太 博樹

P-18 Interactive spatial planning, GIS Network Model, saving energy, and Tsukuba City
 コ コ ルウィン・村山 祐司

P-19 An Integrated System for Preliminary Assessment of River Environment and Biodiversity in the East Tiaoxi River, China
 Ibrahim DJAMALUDDIN・Tatsuro SATO・Yuichi KANO・Tetsukazu YAHARA・Yasuhiro MITANI

P-20 アクセス系集線の配備コスト最小化手法の構築
 中山 悠

P-21 国際消防救助隊活動支援のための空間情報通信システムに関する研究―ハイチ地震の震度分布及び建物被害分布の推定―
 鄭 炳表・細川 直史・座間 信作・滝澤 修

P-22 原爆痕跡のフィールドワークと地図作成ワークショップによる広島平和学習
 竹崎 嘉彦・岩井 哲・太田 弘・川瀬 正樹・崎 将智・佐々木 緑

P-23 環境NPO・NGOの活動支援に向けたWebGISの開発と運用実現性の評価
 大場 章弘・厳 網林

P-24 GPS鬼ごっこ中の行動特性と地域への印象変化の関係
 前田 達也・上田 智翔・大場 章弘

P-25 戦前期における京都市内の公共交通流動
 井上 学


Session 1F 特別セッション:保健医療GIS研究の展開1

【オーガナイザー】 中谷友樹・貞広幸雄

1F-1 地区プロファイルによる新型インフルエンザの流行分析
 木村 義成・齋藤 玲子・辻本 善樹・小野 靖彦・中谷 友樹・菖蒲川 由郷・佐々木 亜里美・小熊 妙子・鈴木 宏
本研究では、新型インフルエンザの発生頻度が近隣地区住民の特徴(地区プロファイル)によって異なるかどうかを検討した。地区プロファイルのデータとして、Mosaic Japanのジオデモグラフィクス・データを利用し、長崎県諫早市の協力医療機関から収集した新型インフルエンザの患者情報と地区プロファイルデータをもとに分析を行った。その結果、季節性インフルエンザと同様に、学童期の子供のいる家族が多い地区プロファイルにおいて、新型インフルエンザの患者が地域平均に比べて多く発生することが示された。

1F-2 社会地区類型に着目した花粉症有病率の地域差 ―日本版総合的社会調査(JGSS)データによる分析―
 村中 亮夫・中谷 友樹・埴淵 知哉
本研究では、調査年次に満20-89歳となる日本全国の個人を対象に実施したJGSS(日本版総合的社会調査)データにおける花粉症の自己申告データを利用し、花粉症有病率の地域差を検討した。具体的には、全国規模の大規模な社会調査であるJGSSデータから、GISを用いてJGSSデータとジオデモグラフィクスとを統合したデータを作成し、町丁目・字レベルでの地域指標を加味した花粉症有病率のリスク要因の分析に取り組んだ。

1F-3 近隣ウォーカビリティと住民肥満レベルの関連性:米国ユタ州ソルトレイクシティを例にして
 山田 育穂
アメリカでは肥満は過去数十年にわたり深刻な社会問題であり、個人の生活習慣改善に重点を置いた従来の政策的対応の限界が指摘されている。そこで研究・政策の両面において注目が高まっているのが、健康的な都市環境を提供することによる肥満の解消・予防に向けた取り組みである。本研究ではユタ州ソルトレイクシティを例に、GISによるミクロな物理的環境指標と国勢調査による社会経済指標を組み合わせ、近隣ウォーカビリティが住民の肥満レベルに及ぼす影響を解析する。

1F-4 GISを用いた感染症媒介蚊の生息ポテンシャルの評価
 米島 万有子・渡辺 護・二瓶 直子・津田 良夫・中谷 友樹・小林 睦生
本研究では、滋賀県琵琶湖東岸地域における日本脳炎媒介蚊およびマラリア媒介蚊の発生密度に着目し、トラップを利用して捕獲された蚊の個体数が、トラップからどの程度の範囲のどのような景観指標によって規定されるのかをPLS回帰分析によって明らかにした。そして、本研究では得られたモデルに基づき、媒介蚊の生息ポテンシャルの分布を推定した。さらに、媒介蚊の行動習性に関連する要素を分布推定図に重ね合わせ、媒介蚊にとっての好適な生息環境条件を評価した。

1F-5 がん早期診断の地理的格差:大阪府がん登録資料の小地域空間解析
 中谷 友樹・井岡 亜希子・津熊 秀明
がんの罹患・治療成績にみられる地域差は、英国では’postcode lottery’と呼ばれ、社会経済的な健康格差の一面として社会的な関心を長く集めてきた。本発表では、大阪府がん登録資料から町域・大字レベルの集計データを作成し、罹患状況とともに早期の段階でがんが発見された割合の分布推定をはかる。さらに、小地域の社会経済的指標と関連づけた分析事例を通して日本での’postcode lottery’の一端を示し、地域がん登録をGIS環境下で運用する意義と課題を議論する。


Session 2F 経済・商業1 司会:山下 潤

2F-1 クラブの競合がJリーグシーズンチケット購買率の空間需要に与える影響
 庄子 博人・山﨑 利夫・間野 義之・中村 好男
本研究は,Jリーグの商圏形成メカニズムを明らかにするため,クラブの競合がシーズンチケット購買率の空間需要に与える影響を検証した。対象は,湘南ベルマーレ,横浜F・マリノス,ガンバ大阪,セレッソ大阪の2007年シーズンチケット購買者である。方法は,各クラブの空間需要の距離減衰パラメータを競合方面を考慮して求めた。結果は,2つのクラブが競合している場合,順位や平均観客数が多いビッククラブは広く緩やかな空間需要曲線となり,小さいクラブは,急峻な空間需要曲線となることが明らかになった.

2F-2 トリップの経過時間に応じたトリップ目的の判別精度に関する研究
 島崎 康信・関本 義秀・柴崎 亮介
ライフログを元にしたリアルタイムなレコメンドを検討する上で、トリップ開始後の早期におけるトリップ目的の推定は、重要と考えられる。本研究では、トリップの経過時間に応じて、トリップ目的の判別精度がどのように変化するか決定木分析を中心に分析を行う。トリップデータは、平成10年度東京都市圏パーソントリップ調査(東京都市圏交通協議会)のマスターデータを使用し、東京大学 空間情報科学研究センターの動線解析プラットフォームを利用して集計を行う。

2F-3 日本の地方都市におけるフードデザートマップの作成とその比較
 駒木 伸比古
近年の日本において,地方都市中心部に居住する高齢者の食の問題が指摘され,「フードデザート問題」として脚光を浴びている.この原因のひとつとして、高齢者と食料品店との空間ミスマッチが挙げられる.そこで本研究は日本の地方都市を対象として,高齢者と食料品店との需給バランスをGISにより分析した.この結果を「フードデザートマップ」として都市間での比較を行い,その特徴を明らかにした.

2F-4 ファッション雑誌を用いたアパレル店街の雰囲気の地図化: 東京23区の事例
 多良間 りさ・磯田 弦
本研究では東京23区を対象に、アパレル店が集中する地域の持つ雰囲気を街路単位で特定する。そのために、各ファッション雑誌への掲載数からアパレル店のコンセプトを因子分析によって求め、因子の空間的分布とその組み合わせから、街路の雰囲気をクラスター分析によって求める。アパレル店がそのコンセプトに合った雰囲気の街路に立地すれば、ターゲットとしている消費者をより効率よく獲得できると考えられる。


Session 3F 観光 司会:川向 肇

3F-1 空間的再現性を考慮した観光ルートモデルのフレームワークの構築
 川井 博之・山本 佳世子
近年では様々な特徴を有した観光資源が注目されている.しかし,観光地として未整備であることも少なくない.そこに観光客が流入し、様々な問題を生んでいる. 本研究は,歩行者の安全性を一例に挙げ、情報量に比例して再現性を考慮した観光ルートモデルの提案をすることが目的である.アンケート調査,観光地情報,道路環境などによって重み付けを行い,適切なルートの使用を促すことによって危険度の低下を目指すものである.

3F-2 写真コミュニティサイトを使用した観光客数の推定方法について ―Flickrを使用した京都の事例―
 日高 亮太・磯田 弦
本研究では京都市を対象に、Web上の写真コミュニティサイトに投稿された、写真の位置情報をGISで使用し、観光客数の推定を行う。写真コミュニティサイトを使用することにより、既存の観光統計調査では捉え切れなかった観光客の行動を知ることが出来る。本研究では、投稿された写真の中から、観光客が撮影したと考えられる適切な写真を抽出する方法と、観光客数の空間的分布を推計を方法を検討する。

3F-3 観光行動としての写真撮影に着目した景観資源の探索と「みどころ」の抽出 -都立石神井公園を事例として-
 杉本 興運
本稿では、都市域の余暇空間における「みどころ」を中心とした景観資源の配置構造を、観光者の視点から明らかにする。都立石神井公園にて来訪者にGPSとデジタルカメラを携帯させ、一定の周遊コース上で写真撮影をしてもらい、GIS等を用いて得られたデータを分析した。なお、「みどころ」とは、ある特定の余暇空間において、好印象や感動という観点から観光者の集団的な合意を得ることができた風景や対象と定義する。

3F-4 駅空間の評価にもとづいた都市構成
 野間田 享平・田中 一成・吉川 眞
駅は都市•地域のシンボルとして、都市交通の中枢として、そして、周辺の都市のイメージを形成するランドマークとしての知名度を合わせ持っており、都市形成に多大な影響力を持っている。本研究では駅空間要素を用いて、駅として曖昧に認識されている範囲を空間的に分析し、「駅」と「駅前」を含む「駅空間」を抽出することを目的とする。GIS等の情報技術を用いることで、都市内部の近接する駅空間の関係を把握することができた。

3F-5 観光案内図の範域と地物からみた鞆の浦の観光圏
 鈴木 晃志郎
本研究は、自治体による公共事業の是非をめぐって論議が続く福山市鞆町(鞆の浦)を対象とし、各種の案内図が表象する鞆の浦が、実際の行政界とどの程度異なっているのかを検討した。分析の結果、特に「鞆の浦」を観光客向けに紹介する観光案内図において、鞆町内にある平地区を描図範囲から外した地図が多いことが明らかになり、観光圏としての鞆の浦と、日常生活圏としての平地区との間に、ある種の境界があることが示唆された。

3F-6 あえて案内しない着地型観光案内-観光関心点データの抽出と活用
 倉田 陽平・杉本 興運・矢部 直人
本稿では,とかく情報過多になりがちな携帯端末向け観光情報サービスに対するアンチテーゼとして,観光地内で過去の旅行者達が興味を示した箇所のみを地図上に描き出す情報サービスを提案する.利用者は現地で関心箇所の分布を見ながら何が面白いのかを五感で探りあて,過去の旅行者達と感動を共有することが可能になる.また,本稿では関心箇所データの入手方法を比較検討し,GPSカメラの利用が有力な情報源となることを示す.


Session 4F 空間移動・空間認知 司会:刀根 令子

4F-1 簡易GPSロガーとシール式日記を用いた子どもの行動調査法
 雨宮 護・菊池 城治・畑 倫子・佐々木 誠・温井 達也・今井 修・原田 豊
GPSとウェブダイアリーを併用した人間の行動調査は,プローブパーソン調査として交通の分野で確立されてきた。本研究では,GPSを小型で安価なGPSロガーに,ウェブダイアリーを容易に記入できるシール式の活動日誌に置き換えたうえで,プローブパーソン調査を子どもの行動調査に用いた。本発表では,茨城県つくば市の小学生80名を対象に行われた実際の調査例に基づいて,この手法の妥当性と可能性について議論する.

4F-2 公共ホールの周辺環境分析
 曽我 俊生
人間の「場所」に対する認知や行動は,目的地だけでなく,そこに辿り着くまでの経路や周辺環境にも影響を受ける.この傾向は来訪回数が少ないほど引き起こされやすく,その点で,非日常空間への訪問行為において,周辺環境が人間の行動に与える影響は大きいと言える.本研究では最寄り駅と公共ホールを結ぶ経路に着目し,そこでの土地利用の状況や区画構成などの情報を基に,「周辺環境」の特徴を明らかにする.

4F-3 形態素解析を用いた渋谷の地域イメージ研究
 鈴木 健太
本研究は渋谷を対象に地域ガイド情報から地域イメージの抽出,可視化を試み,地域特性を明らかにする.メディアを用いた地域イメージ研究において,イメージ要素の抽出方法には主観性や恣意性の入り込む余地が大きい.そこで,テキストの処理に形態素解析を用いて,機械的なキーワード抽出をおこなった.その結果.渋谷を形容する多様なキーワードが抽出できた.また,地図上に可視化することで,渋谷の空間構造とイメージの分布との関係にも言及できた.

4F-4 GPSデータに対する配列解析の援用
 矢部 直人
近年,人間や動物などの行動を分析するためにGPSを用いることが多くなっている.配列解析は,もともと遺伝子配列の比較などに用いられていたが,GPSデータの分析に援用することで,人間や動物の行動を分類する手法として期待できる.本研究では,GPSで取得した歩行軌跡データに配列解析を援用し,分析を行う際に問題となる事項について検討する.

4F-5 市街地におけるグラフィティライターの行動特性に関する研究-高円寺駅周辺を対象として-
 布川 悠介・伊藤 史子
グラフィティとは街に描かれる落書きのことである。本研究ではグラフィティ分布と都市要素との関係を分析し、ライターの行動特性に関する示唆を得ることを目的としている。高円寺駅を中心とした半径600m以内のグラフィティ分布の調査を行って得られた地点と数、種類のグラフィティ属性データを用いて空間分析を行った。分析の結果よりライターの行動特性は都市要素と関係していることがわかった。特に駅からの距離、用途地域は大きな要因となっている。

4F-6 展示空間における来場者の移動軌跡抽出と行動分析
 田原 荘平・大佛 俊泰
展示会場・イベント会場などの空間設計に際しては,来場者の移動行動について理解しておく必要がある.本研究では,ビデオカメラの映像を利用して,比較的簡単に来場者の移動軌跡を時空間情報として抽出することのできるシステムを構築した.また,これを実際の展示空間で収集した映像に適用することで,来場者の移動軌跡を高精度で抽出することができることを示した.さらに,抽出した移動軌跡のデータを用いて,来場者の移動特性についての定量的な分析を試みた.


Session 5F 防災・防犯3 司会:福山 薫

5F-1 拡張現実技術を用いた位置情報に基づく家具の地震応答シミュレーションに関する研究
 佐藤 俊明・チャタクリ スバス
本研究では、位置や方位などを計測することが可能なスマートフォンなどのモバイル端末を利用して、家具の形状情報、取得した位置情報をキーとしてその場所の地震波形をサーバより取得し、これらのデータを用いて家具の転倒シミュレーション解析を行い、その結果を拡張現実技術により可視化するシステムを試作することを目的とする。家具の転倒シミュレーションには個別要素法を用いる。

5F-2 道路網に着目した植生分布の延焼遮断効果の分析
 熊谷 樹一郎・相本 敬志
植生が空間的に分布することによって,緑道や延焼遮断帯,避難経路が形成される.これらの機能が現地においてどの程度寄与しているかを明らかにすることは,緑地保全や防災計画での貴重な検討材料となる.これまでに我々は,植生群の延焼遮断効果を定量的に表す方法を開発してきた.本研究では,道路網に着目し,道路を横断する建物間の延焼に対しての植生群の延焼遮断効果を分析した上で,避難経路選定への支援情報の取得を試みた.

 

5F-3 大地震発生初動期における就業者の出社可能性について
 玉野 沙織・大佛 俊泰
近年,大地震の発生を想定した事業継続計画(BCP)が多くの企業において検討されている。事業を継続するためには,従業員が平常時のように出社できることが前提となるが,災害発生初動期には交通手段が麻痺することが予想され,出社困難となる就業者は膨大な数に及ぶと考えられる。そこで本研究では,東京都市圏パーソントリップ調査データを用いて地域別・職業別に出社困難率を推定し,その特性について考察する。また,鉄道路線の復旧方法が出社困難率の改善に及ぼす効果について考察する。

5F-4 災害時住民避難支援システムの構築の可能性
 有馬 昌宏
災害発生時に地域住民の安全な避難を確認し,避難未完了者には安否確認と安全確保のための対策が講じられるよう,住民の居所をデジタル地図上に表示し,バーコードによる個人識別によって,事前登録者は避難所入所手続きを簡略化し,避難所への入所完了または入所未完了の状況を地図上にリアルタイムで表示するシステムのプロトタイプを構築し,その有効性を兵庫県三木市の連合自主防災会主催の防災訓練で検証した.

5F-5 FOSS4Gを利用した水害時避難経路探索システムの構築
 嘉山 陽一
既存の水害時想定浸水深データをレーザー計測地形データを利用して単位を精密化した。このデータと道路ネットワークをオーバーレイすると道路区間単位に破堤後時間別浸水判定を行える。この判定を経路検索システムpgRoutingに組み合わせることで浸水してない道路のみを利用した経路探索を行える。浸水判定を行うためのデータ加工と経路探索システム構築にFOSS4G(QuntumGIS等)を利用した手法を解説する。


Session 1G 特別セッション:保健医療GIS研究の展開2

【オーガナイザー】 中谷友樹・貞広幸雄

1G-1 軌跡データマイニングによる手術状況分析
 奈良 温・和泉 潔・鈴木 孝司・伊関 洋
手術室内における空間情報を安全・効率的な手術マネジメントに活用することは医療GISの新たな展開である。本研究では術中における複数スタッフの位置情報を収集する超音波式位置情報システムを開発した。さらに軌跡データマイニング技術を用いることにより、術中スタッフの動線パターンを抽出し、手術状況の可視化・作業内容分析を行う技術を開発した。

1G-2 移動体情報を活用した運動環境評価
 梅崎 昌裕

1G-3 新潟市における救急サービスの地域格差と最適配置分析
 佐々木 諭
本研究は、新潟市における救急出動ならびに病院搬送時間の地域格差と影響を与える因子を特定し、ネットワーク分析を用いた消防署最適配置による時間短縮と格差の是正を検証することを目的とする。分析結果より、現場到着と病院搬送時間ともに地域格差が認められ、いずれも消防署、救急病院までの距離が有意な要因と推察された。最適配置分析より、救急隊の配置転換は現場到着時間を短縮し、地域格差を軽減することが可能であると示された。

1G-4 医療機関へのアクセスビリティの定量化による地域医療計画の評価
 福田 吉治・安岡 和昭・原田 唯成・中谷 友樹
医療資源の適正配置と連携が重視され、地域医療計画においても4疾患5事業の医療連携体制の記載が義務付けられた。本研究は、山口県地域医療計画で示された高度救命救急センター、脳卒中、心筋梗塞急性期病院へのアクセスビリティについて、自治体ごとに到達時間別人口とその割合を算出し、医療機関配置の適切さを評価した。さらに、医療機関の設置を仮定したアクセスビリティの改善を定量化し、望ましい配置について検討した。

1G-5 茨城県における診療所間の空間的競争
 吉田 あつし・幸野 聡
本稿では、茨城県の医師会名簿から得られた既存診療所および新規参入診療所の位置データを用いて、診療所が新規参入するときの立地場所の決定要因、および既存診療所の空間的均衡の決定要因を明らかにした。診療所が直面している市場における潜在的需要が大きいか、近くに大病院が存在すると、新規参入の場合であっても既存診療所の場合であっても、その市場内の競争相手の数が多くなることが示された。さらに、医師が開業前に働いていた病院の近くに診療所を開設する場合には、たとえ競争相手が多い市場でも新規立地することが示された。


Session 2G 経済・商業2 司会:玉川 英則

2G-1 日本全土の商業集積地域の分布と集積ごとのチェーン店進出状況の把握
 秋山 祐樹・仙石 裕明・柴崎 亮介
近年、地方都市を中心に都市中心部の商店街地域の衰退が顕著である。一方で郊外地域にはロードサイド型の新興商業集積が出現しているが、商業集積地域の位置とその広がりを把握できるデータセットは存在しない。本研究ではデジタル電話帳をポイントデータ化し、業種と店舗間距離を用いて商業集積地域を自動抽出する手法を開発し、日本全土の商業集積地域データを開発した。また集積ごとのチェーン店率とチェーン店に占める新設チェーン店率を明らかにした。

2G-2 住宅地滲出型商業集積の形成に関する時空間分析
 関口 達也・貞広 幸雄・秋山 祐樹
本研究は、対象を「大型商業集積に隣接した住宅系用途地域に形成された商業集積」として定義し、その形成の原因や過程を分析し、東京23区に存在する事例を複数選び分析を行う。 そして、類似事例の成長管理のための指針を得る事を目的とする。 具体的には、統計的な指標を用いて対象となる商業地域を含みうる地域の探索、また、店舗の空間的分布やその属性の変遷などから対象地域に共通する特徴を見つけ出していく。

2G-3 取引価格と公的地価指標の比較を通した地価情報提供の検討
 井上 亮・中西 航・杉浦 綾子・中野 拓・米山 重昭
不動産の市場取引価格を公的地価指標を比較可能な情報として公開すると,専門家以外の市場参加者に対しても市況情報の提供が可能で,透明性の高い健全な不動産市場の構築に有効であるが,その試みはこれまでなされていない.本研究では,取引時点・地点の属性を利用した公的地価指標の時空間内挿を行い,その内挿値を標準価格と見なし取引価格水準情報を算出し,不動産市場の動向を情報提供するWebサービスのパイロット版を構築・公開を行う.

2G-4 衰退傾向にある商業集積地の抽出とパターン分類 ~全国の商業集積地を対象として~
 仙石 裕明・秋山 祐樹・柴崎 亮介
本研究は衰退傾向にある商業集積地の現状・要因把握を目的として、商業集積地の抽出と時系列分析を行った。独自のバッファリング手法に基づいて、商店街単位で全国の商業集積データを作成した。商業集積地の時系列変化と立地環境特性・業種構成変化との関係を明らかにすることで、衰退要因のパターンと傾向が分類できた。


Session 3G 施設配置 司会:大沢 裕

3G-1 ネットワークボロノイ領域分割を用いた北海道の医療機関圏域に関する時空間分析
 梅津 佳哉・橋本 雄一
本研究では,北海道における医療機関がもつ圏域に関して診療科ごとの時空間分析を行うことで,人口低密度地域における二次医療圏設定後の医療供給体制ついて考察を行う.圏域を画定する手法として,ネットワークボロノ領域分割を用いる.本研究は,この分析により医療機関圏域の拡大と,診療科ごとの受療環境の空間的差異を明らかにした.

3G-2 新潟市のコミュニティ施設についての行政サービスの量的分析とパブリック・アセットマネージメント
 長谷川 普一・卯田 強
本研究は地域間および世代間の公平性という視点から新潟市の行政サービスの現状を可視化し、重複する公共施設の適正配置を分析した。これに基づき、長期的視点に立った自治体のアセットマネージメントを考察する。

3G-3 選択行動からみた公共施設の接近性分析
 津田 さやか・大佛 俊泰
公共施設の利用圏の広がりは,施設までの接近性に大きく依存している。従来までは利用可能なデータの制約から,接近性は直線距離で代替されることが多かった。本研究では,GISのネットワークデータを用いて,地理的特性と移動手段の違いを考慮に入れた接近性について,横浜市立図書館の利用者データもとに,分析を試みる。

3G-4 防災拠点としての学校施設の利用圏域に関する空間分析
 稲垣 景子・佐土原 聡
学校施設は、教育の場としてだけでなく地域活動の拠点や災害時の避難所としても利用されるが、学校区と地域活動圏域、避難圏域は必ずしも一致しない。今後、各地で学校統廃合が進み、この傾向は強まると考えられる。そこで、本研究では、横浜市の防災拠点に指定されている小中学校の立地と避難圏域の現状を把握し、平常時の通学区域や地域活動圏域との空間的差異の定量化を試みるとともに、差異の生じる要因について考察する。

3G-5 個人嗜好を考慮した訪問エリア選択支援システム実証実験
 鈴木 綾子・伊藤 史子
個人嗜好を考慮した訪問エリア選択支援システムを構築し、2009年夏に実証実験を行った。当システムはある地域内を巡ることを対象として、地域の魅力を基にし、かつ個人の嗜好にあわせた訪問エリア選択を支援するための面的な情報提供を行うシステムである。第4回大地の芸術祭において一般観光客に対し、当システムの運用実験を行った。本稿では、当実験で得られた観光における個人嗜好や観光資源評価についての分析結果を報告する。


Session 4G 居住・コミュニティ 司会:伊藤 香織

4G-1 京町家居住者に対する意識調査結果の地域傾向についての考察
 松本 文子・瀬戸 寿一・飯塚 隆藤・矢野 桂司
2008年から京都市内における第III期京町家まちづくり調査内で、京町家居住者に対する質問紙調査が実施され、約7000枚の回答が回収された。この調査結果を学区単位で図示し、居住者の住み替え希望や京町家の活用意向、保存に関する問題点といった京町家の保存に関する回答に地域的な偏りがあるか考察する。また、京町家の魅力や大切にしているところといった居住者の意識と、年齢や性別等の個人属性との関連性についても分析する。

4G-2 京における路地空間の把握
 高岡 光太朗・吉川 眞・田中 一成
本研究では京都市の中心市街地である上京・中京・下京・東山区を対象地として、路地の設えを含めた路地空間の現状と特徴を把握することを目的とする。路地空間の分布状況について、京都市の細街路調査データをもとに路地の位置を定位しGISを用いて分布状況を把握している。さらに、路地空間の特徴を探り、路地空間の構成要素の抽出を行っている。

4G-3 都市居住者の「人付き合い」のための空間的移動行動
 刀根 令子
本研究では、首都圏の居住者を対象とする2007年に実施した住環境選好・評価調査のデータを用い、都市居住者の日常の人付き合いを、その相手との関係性、自宅間の時間距離(電車等で移動する場合の所要時間)、会う頻度等の複数の要因間の関係から分析した。多様な情報通信手段を用いて遠隔地の人とも日常的に情報をやり取りできる現代においての、物理的に「会う」という行動を、空間的な移動やその人との関係性に着目して考察する。

4G-4 GIS活用と市民参加による「みどりの実施計画」の策定
 王尾 和寿・鈴木 雅和
茨城県東海村では平成21年に策定された,みどりのまちづくりに関するマスタープランである「緑の基本計画」に基づき,現在,「みどりの実施計画」を策定中である。本研究では,GISをベースとした「みどりの実施計画」の策定過程を通して,計画立案における地理情報の収集整理と分析方法,市民に理解しやすい可視化表現と情報共有化,歴史・文化・観光資源などみどりを取り巻く総合的視点からの計画策定等について論じた。

4G-5 首都圏における不動産の高齢化に関する空間分析
 川向 肇・岩場 貴司
本研究では、首都圏を対象に、持ち家の高齢化の現状とその空間分布に関する研究成果をしめす。年齢別の持ち家の所有率のデータを用い、局所的な空間的自己相関の指標などを用い住宅の保有に関する年齢構成の観点から明らかにする。その上で、首都圏の住宅地の高齢化と住宅保有構造に関する高齢化の視点からの地域特性と今後の住宅政策上の課題を明らかにする。


Session 5G 防災・防犯4 司会:臼田 裕一郎

5G-1 避難区域間における避難地の配置状況の広域的な分析
 髙木 孝文・熊谷 樹一郎
市町村で指定されている避難地は既存の公共公益施設を利用しているため,避難地の配置状況に偏りがある.その結果,隣り合う市の避難地へ向かう方が近いケースや,近隣に避難地が無く,最も近い避難地までの距離を要する箇所が存在する.そこで本研究では,各町丁目から避難地までの道路ネットワークにおける平均距離を算出し,相互の位置関係を明らかにした.さらに,人口データを導入し,平均距離と組み合わせることで避難区域間での違いを抽出した.

5G-2 ネットワークボロノイ領域分割を用いた積雪都市における避難場所収容能力の時空間分析
 寺山 ふみ・橋本 雄一
本研究は,ネットワークボロノイ領域分割の手法を用いて,「人口の都心回帰」現象が進行しつつある札幌市を対象に,地震災害時における避難施設収容能力と人口分布と対応関係を検討するための時空間分析を提案する.その分析方法を適用した結果,オープンスペースが使用できなくなる積雪期には,近年生起している当該現象が避難場所の収容能力不足を深刻化させている状況を解明できた.

5G-3 国際海運における海賊活動の地理的特性分析
 鳥海 重喜・渡部 大輔
海に囲まれた我が国において,海上輸送は貿易量の99.7%(重量ベース)を担っており,我が国に必要不可欠な交通インフラである.しかし,近年,世界中で商船を狙った海賊が多数出没しており,特に2007年ごろからソマリア沖・アデン湾において急増している.本研究では,海賊の発生状況を地図上にプロットした上で,海上航路ネットワークにおける船舶の航海データとの関係を分析することで,地理的特性を把握することを目的とする.

5G-4 建物壁面等の空間的属性を考慮したひったくり犯罪の分析
 瀧澤 重志
現在、作成の過程もしくは閲覧に主眼が置かれた地域の安全マップが各地で公開されている。前者は、参加者の地域安全に対する積極性の向上という意味で有効な手段であるが、時間的・空間的・人的制約の無い者しか作成の場に立ち会うことができず、情報提供における機会損失が起きているといえる。本研究では、これらの制約を緩和した情報共有型GISの設計と構築を行い、地域一体型安全対策のあり方について実地検証を行った。

5G-5 安全情報共有を目的とした情報共有型GISの地域コミュニティでの導入に関する研究
 柳澤 剣・山本 佳世子
現在、作成の過程もしくは閲覧に主眼が置かれた地域の安全マップが各地で公開されている。前者は、参加者の地域安全に対する積極性の向上という意味で有効な手段であるが、時間的・空間的・人的制約の無い者しか作成の場に立ち会うことができず、情報提供における機会損失が起きているといえる。本研究では、これらの制約を緩和した情報共有型GISの設計と構築を行い、地域一体型安全対策のあり方について実地検証を行った。